“腰パン王子”が玉砕した−。17日(日本時間18日)に行われたスノーボード男子ハーフパイプで、公式服のルーズな着こなしや記者会見の態度が問題となり、図らずも注目を一身に集めた国母和宏(21)=東海大=が登場。決勝に温存した大技に失敗し、転倒。逆境を力に変えることはできず、8位入賞にとどまった。ともに決勝に進んだ青野令(19)は9位。スノーボードのカリスマ、ショーン・ホワイト(23)=米国=が連覇を果たした。

カーキ色のウエアに黄色のパンツを腰ばきするおなじみのスタイル。予選後、「もうちょっと得点を伸ばしたかった」と不満げな顔をのぞかせたが、決勝では真剣な表情を見せた。

1回目を9位で終えて2回目。最初のジャンプを勢いよく決めると、得意の縦横回転技「マックツイスト」、水平方向に3回転する「1080」とジャンプを次々と成功させた。最後に1回目で失敗していた斜め、縦、横の回転を組み合わせた3回転技「ダブルコーク」に挑戦。成功しかけたが、着地でバランスを崩して手をついた。

「決まらなかったらどうしようもない。滑りのスタイルは出せたので悔いはない」と、自らを納得させよるように話した。

「すごく期待していた」という“お目付け役”橋本聖子団長も見守るなか、前回トリノ五輪で23位と沈んだ「借り」を返すことはできなかった。

これほど注目を集めたのは、バンクーバー入り前に公式スーツを着崩して現れた“腰パン”問題が発端。「品格」が問われて批判が殺到し、会見での不遜な態度も火に油を注いだ。本番直前には「迷惑をかけた人たちにいい滑りを見せたい」と抱負を語ったが、口の中には練習中に着用した「SAMURAI」の文字が刻まれたマウスピース。奔放さは最後まで変わらなかった。

1988年、北海道石狩市生まれ。4歳でスノーボードを始め、11歳でプロ資格を取得。中学時代から賞金大会に出場するなど、早くから「プロ選手」として活躍した。

批判を浴びた独特の「スタイル」もそんなプロとしての自覚から。それがよく現れているのが所属するプロスノーボーダー集団「セブン侍」の公式ホームページに掲載されているブログだ。

1月に優勝賞金9000万円のプロ大会「Xゲーム」で3位に入った国母は、その様子を「これがREALな“snowboard”だろ」と紹介。ジャンプを決める自身の写真付きの新聞記事を掲載して「俺が求めてんのはこうゆうイケてる“snow board”なんだよ」と綴った。

五輪について「メダルを取って人生を変えようとは思わない。自分にとって五輪は一部であって、全部でない」という冷めた思いとは対照的で、「プロライダー」としての意識をのぞかせていた。

試合後、国母は「スタイル、思いを最後まで曲げなかったのはいいことだと思っている」と話した。最後まで自分を貫いた。

■男子ハーフパイプ決勝
(1)ショーン・ホワイト(米国)48.4点
(2)ピロイネン(フィンランド)45.0点
(3)ラゴ(米国)42.8点
(4)ポドラドチコフ(スイス)42.4点
(5)ビト(米国)39.4点
(6)コスキ(フィンランド)36.4点
(7)ラムルー(カナダ)35.9点
(8)国母和宏(東海大)35.7点
(9)青野令(松山大)32.9点
(14)工藤洸平(シーズ)33.5点
(27)村上大輔(クルーズ)23.5点
(工藤は準決勝敗退、村上は予選敗退)

【国母・“腰パン”問題の経緯】
★2月9日 バンクーバーへの出発の際、成田空港に日本選手団公式スーツを着崩した“腰パン”にネクタイを緩めた姿で登場。全日本スキー連盟に抗議が殺到し、日本オリンピック委員会(JOC)は、選手村入村式への出席を自粛させる

★10日 記者会見で服装の乱れについて質問されると、「うるせーな」と舌打ちしたうえで、「反省してまーす」と“謝罪”

★11日 全日本スキー連盟が五輪参加を辞退させる意向を示す

★12日 国母の母校、東海大にメールや電話で抗議が殺到。大学は「誠に遺憾」などとする声明を発表

★13日 開会式への参加自粛を決め、謝罪会見を開く。橋本聖子団長の判断で競技参加は許される

★14日 謝罪のため、東海大の相原博之監督が現地入りすることが決定。東海大は札幌キャンパスでの応援会を中止すると発表

★15日 衆議院予算委員会で問題が取り上げられ、川端達夫文科相が「極めて遺憾」と答弁

★16日 公式練習後、会見。「SAMURAI」と書かれたマウスピースをはめたまま質問に答える

(夕刊フジ)