スノーボード・男子ハーフパイプ決勝で8位入賞した国母=尾賀聡撮影(読売新聞社)バンクーバー五輪第6日(17日=日本時間18日)――服装の乱れや記者会見の態度が問題になっていたスノーボード・男子ハーフパイプの国母が、騒動の影響を感じさせない演技で8位入賞を果たした。

逆境に強い男だ。昨年2月のユニバーシアードでは、肋骨(ろっこつ)3本を折って直前の世界選手権を欠場したにもかかわらず、ぶっつけ本番で優勝した。「重圧に強い。見ている人が多ければ多いほどいい滑りをする」と、東海大の相原博之監督。

今回は12日に謝罪会見をした後、公式練習の最中にまでテレビカメラに追い回された。並の神経では競技に集中するのは難しかったはずだが、逆風の中でも堂々と力を発揮してみせた。

予選は2組2位の得点で楽々と決勝へ。ここで温存していた秘密兵器を繰り出した。回転軸を複雑に変えながら3回転する「ダブルコーク」。しかし、演技の最後に繰り出したこの大技で、1回目は着地に失敗。2回目も左手をついてしまい、得点を伸ばせなかった。両回ともそれまではほぼ完璧(かんぺき)だっただけに、惜しまれた。

4歳の時、自衛官の父と行ったスキー場で、スノーボードに出会った。11歳で早くもプロ資格を取ると、14歳でワールドカップ(W杯)にデビュー、いきなり4位に入って脚光を浴びた。それ以来、スノーボード一筋。社会常識に欠けると批判を浴びた行為は、そんな環境が招いた「悲劇」だったかも知れない。

自らの滑りを収めたDVDを発売するなど、プロスノーボーダーとしての活動に主眼を置き、「五輪は一つの大会に過ぎない」と言い切る。それでも出場したのは、「スノーボードを知らない人に、スノーボードのかっこよさを知ってもらいたい」という目標があったからだ。1メートル63の小さな体で果敢に大技に挑んだこの日の姿勢は、確かにかっこよかった。
(読売新聞)