バンクーバー五輪スノーボード・ハーフパイプの男子代表、国母(こくぼ)和宏選手(21)の乱れた服装の問題で、批判が収まらない。

現地の日本選手団はぴりぴりムード。国会でも選手の服装や態度がどうあるべきかが議論されたほか、母校や全日本スキー連盟(SAJ)には、12日(日本時間13日)に国母選手が頭を下げた謝罪記者会見後も抗議が続いている。騒動が尾を引く中、国母選手は17日(同18日)、いよいよ競技本番を迎える。メダルも夢ではないと言われる若者は逆風の中、力を出し切れるのか。

謝罪会見後、国母選手が記者団の取材に応じたのは15日(同16日)。競技会場のバンクーバー郊外、サイプレスマウンテンでの公式練習の後、「いろいろあったので、迷惑をかけた人たちにいい滑りを見せたい」と語った。本番に繰り出す空中技を聞かれると、「企業秘密」と小声で答えた。問題が大きくなって以来、競技場には連日取材陣が詰めかけている。それを懸念したコーチの一人が、「競技に集中させてほしい」といらだちを見せる場面もあった。

SAJが帰国後に何らかの処分を行うとする方針を崩さないでいるが、選手団の関係者は「彼は11歳でプロ資格を取得し、海外転戦を続けてきた。同年代の若者より社会を知らないところがある。言いたいこともうまく表現できず、誤解されやすい」とかばった。

国母選手の服装問題は国会でも取り上げられた。15日の衆院予算委員会。自民党の下村博文議員が「朝青龍の問題もそうですけど、大臣はどんな感想をお持ちですか」とただし、川端文部科学相は「日の丸を胸に参加する代表選手の服装としては適切ではなく、極めて遺憾。(謝罪会見も)反省しているという態度ではなかった」と答弁した。

SAJによると、寄せられた抗議・意見のピークは、1回目の謝罪会見が行われた直後の約50件。2回目の記者会見後にも20〜30件あったという。また、国母選手が在籍する東海大にはピーク時、1日120件近くの抗議・意見が殺到。このため国母選手が通う札幌キャンパスでは、競技の開催に合わせて予定していた応援会を中止することを決定した。ただ、中には「応援しています」という励ましの声もあったという。

こうした騒動の中、競技への影響を心配する声も出ている。スノーボードの萩原文和監督は服装問題について、「影響があるかは、心の中まで見られないのでわからない」と言葉少なに語った。

国母選手の実力は国内外で認められている。前回トリノ五輪では決勝に進めなかったが、翌2007年のスイスで開かれた世界選手権のハーフパイプで2位に食い込む活躍を見せた。米国のスポーツ専門テレビ局「ESPN」記者のアリッサ・ロエニクさんは「国母選手は技のつなぎが素早く、ジャンプも大きい。メダルの有力候補」と語った。

男子ハーフパイプは17日午後1時5分(日本時間18日午前6時5分)、予選がスタートする予定。
(読売新聞)