バンクーバー五輪で表彰台に立ちたい。その一念で国籍変更を決断したフィギュアスケートペアのロシア代表、川口をはじめ、国籍を変更して五輪の舞台に立つ選手は多い。背景には、川口のように五輪への思いもあれば、商業主義の発露など様々だ。

カナダ初の金メダルに沸いたモーグル会場。ただ一歩間違えば、バンクーバー出身の豪州選手が“母国”の優勝を阻みかねなかった。銀メダルのベグスミス。カナダから豪州に移った国籍変更選手だ。“移籍の理由”は「税金問題」だったと言われている。

1998年長野五輪スピードスケート男子5000メートルで銅メダルを獲得したフェルトカンプも国籍を変更組だった。92年アルベールビル五輪1万メートルで金メダルを獲得したオランダの英雄だが、長野へはベルギー代表としての出場だった。

長距離王国オランダでは若手の台頭著しく、世代交代を迫られ、母国を捨てる決心をした。だが、オランダでは「レベルが下の国で代表になろうとしている」と非難の声も上がったという。

五輪憲章では、変更前の国で最後に代表になってから、3年経過すれば新たな国の代表として五輪出場は可能。この期間を短縮、解消するには出身国オリンピック委員会の承認が必要だ。

川口は、日本が理解を示した形だ。スノーボード男子ハーフパイプで07年までロシア代表だったが、今大会はスイス代表として臨むポドラドチコフもロシアが了承してのことだ。このほか陸上界では、中東諸国などが豊富な資金を背景に、ケニアなどから長距離選手を“獲得”していることが問題視されており、卓球では中国系選手の多さが懸念されている。
(産経新聞)