衝撃吸収パッドを埋め込んだプロテクターの効力を説明する河田社長=大阪府吹田市泉町(鳥越瑞絵撮影)(写真:産経新聞)■大技支える柔らかな「鎧」

U字形のコースを左右に滑走しながら、両側の壁の頂点で空中に舞い上がり回転などの技の種類や難易度を競うスノーボードのハーフパイプ。華やかな競技だが、失敗すれば10メートル近い高さから凍った雪にたたきつけられる。

「衝撃を和らげるプロテクターをつけていないと、とにかく痛いし、骨折や複雑骨折の大けがになる」。昨年3月の全日本選手権で初優勝した女子期待の若手で、大津市出身の岡田良菜(らな)選手(19)が愛用する製品を手がける「日新企画」(大阪府吹田市)の河田正幸社長(49)はこう話す。

岡田選手は競技中、肩や背骨、ひじなどに衝撃吸収パッドが入ったジャケットタイプと、腰まわりなどにパッドの付いたスパッツタイプの2つのプロテクターを身に着けている。

同社のパッドは、枕などに使われる柔らかい低反発素材や、衝撃を分散する穴あき素材など3〜4種類の重層構造になっている。厚さは約1センチだが、身に着けてパッドの部分にパンチを受けても痛みを感じないほどの衝撃吸収力を誇る。これを小さくカットして体の曲線に合わせることで、安全性とともに動きやすさを確保する。

ひじには数センチ角のパッドが板チョコのように16個、肩には細長いパッドが蛇腹のように10個並び、全身では大小合わせ100個以上にもなる。河田社長は「どんな体勢でこけても大丈夫」と太鼓判を押す。試合中はウエアに隠れて目立たないが、この柔らかな“鎧(よろい)”が、高さを武器とする岡田選手の大技を支えている。

生産を開始した8年前はまだプロテクターの需要はほとんどなかったが、スノボ人気を追い風に、現在は社員8人ながら海外6工場を構えるまでに急成長した。河田社長は岡田選手に「プレッシャーに強い良菜ちゃんならメダルもいける」と期待を込めている。

【用語解説】スノーボード・ハーフパイプ
円筒を半分に切って横に倒したような形状のコースを徐々に下りながら往復する。1998(平成10)年の長野五輪から正式競技になった。バンクーバー五輪には、日本から男子4人、女子3人が出場。男子は17日(日本時間18日)、女子は18日(同19日)に予選、決勝が行われる。男子は、昨年の世界選手権を制した松山市出身の青野令選手、女子は岡田選手のほか、トリノ五輪9位のベテラン、中島志保選手らの活躍が期待される。
(産経新聞)