郡上市観光連盟と同市が、オーストラリア観光客誘致に乗り出した。スキー場集積地という環境や奥美濃情緒を売り込み、滞在型旅行を促す考え。ただ、世界的不況や円高という逆風に加え、関係者の中には、本当に需要が見込めるかといった不安もよぎる。同連盟などは「まず一歩。徐々に土台を作りたい」としている。

「北海道ニセコ地区、長野県白馬村が先進地。しかし、昨年、今年とスノーボードワールドカップを開いた郡上もひけは取らない」。3月19日、市観光連盟と市が同市高鷲町で開いたオーストラリア観光市場調査報告会の冒頭、同連盟の和田繕長会長は力を込めた。

同国からの誘客は、一昨年来の台湾に続く第2弾。国内の滞在型旅行減少やスキー人口低迷の中、比較的長期旅行を好むとされるオーストラリア人を、高鷲地区を中心に12スキー場がある郡上に引き込もうとの思惑だ。

ここ4、5年、ニセコ、白馬で同国観光客が口コミや誘致策が相まって増えたのは良く知られる。国内全体でも同国観光客は増加傾向で、昨年は約24万2000人。国の誘致策の重点市場で、県もアジアに次ぐ誘致先に位置付けている。

ただ、関係者の懸念も少なくはない。まずは交通。中部国際空港と同国間の直行航空便は原油高などから昨年12月廃止され、今はない。PRの際、東京、大阪と郡上間の交通手段をどう説明するか、郡上市内の宿泊施設からスキー場などの連絡は−。観光団体、スキー場関係者ら約15人が出席した報告会では、こうした点を挙げる声が目立った。

「大きいスキー場が集中するニセコ、白馬とでは環境が違う。需要見込みがはっきりしないのに、誘致に費用を掛けるのは疑問」との意見もあった。

和田会長は「確かに課題は多い。だが、宿泊を増やす取り組みは絶対必要。高鷲地区で約25年前に始めた修学旅行誘致も、定着したのはこの10年ほど。こうした取り組みは時間が必要」と話す。

当面の具体策として、日本政府観光局が5月、シドニーなどで開く観光博覧会に出展する計画。市観光課は「個人旅行中心とみられるオーストラリア人観光客への対応は、もてなし力の向上につながるはず。まず少しでも、旅行者を呼びたい」と、地道に誘客を進める構えでいる。
(中日新聞)