■パック旅行好調 割引も続々
スキー人口の減少が続くなか、かつてのブームを支えた中高年スキーヤーの“ゲレンデ回帰”が目立っている。各スキー場はシニア向けのサービスやリフト券の割引を打ち出すなど、PRに懸命。熟年向けの旅行パックやスキーウエアの売れ行きも好調で、若者のスキー離れが進む一方、続々と定年退職を迎える団塊世代の取り込みをねらった商戦も熱くなっている。

≪カービング≫
「団塊世代には、リゾート感のあるスキー場や雪質のいいゲレンデが人気。上質なスキーの時間にこだわる人が多いんです」。熟年スキーヤー向けの雑誌「大人のスキー」(実業之日本社)の編集者、幸田望さん(36)はこう話す。

日本に第1次スキーブームが訪れたのは、団塊世代が青春時代を過ごした昭和40年代。加山雄三さん主演の映画「アルプスの若大将」(41年公開)もブームを後押しし、大学にスキーサークルが次々と誕生した。

こうした世代が再びスキー場へ足を向ける決め手となったのが、10年ほど前に登場した「カービング」と呼ばれるスキー板。従来の板より幅が広く、簡単に、しかも体力を使わずに曲がることができる。

旅行代理店JTBサン&サン西日本(大阪市中央区)によると、同社主催の北海道へのスキーツアー参加者のうち50歳以上が占める割合は、平成14年には約9%だったが、19年には約15%に増加したという。

同社は今月12日、熟年世代をターゲットにした旅行商品「悠々スキー」を発売。レンタル用品やレッスン付きのプランを提案し、久しぶりにスキーをする人もサポートする。通常のスキーツアーより割高にもかかわらず問い合わせが多く寄せられているといい、「スキーへの再チャレンジをきっかけにして、冬の旅行客の掘り起こしにつなげたい」と意気込む。

≪ウエア充実≫
大阪・梅田の阪急百貨店イングス館では今シーズン、「大人のスノーリゾート」をテーマに中高年向けのスキーウエアを充実させた。中高年のスキーヤーも多いヨーロッパから、落ち着いた色合いのウエアが多数入荷。上下合わせると10万〜15万円にもなるが、売り上げは前年を上回っているという。

スキー場の側でも、あの手この手でサービス向上に努めている。

長野県内の主要なゲレンデはほとんどがシニア向けの割引券を発行。白馬八方尾根スキー場(同県白馬村)では、参加資格を“自称”シニアとしたスキーツアーを開催している。案内人は地元スキー学校のインストラクターのOBで、同世代の案内でゆっくりと楽しむ内容が中高年に人気だという。

HAKUBA47スキー場(同村)には平成15年、47歳以上を対象にした「シニアスキー倶楽部」が誕生。現在の会員数は860人を超えており、事務局の太田達彦さん(62)は「一時スキーを離れていたが、再び始めたという人も多い」と話す。

≪頭痛い若者離れ≫
一方で業界にとって頭が痛いのが、若者のスキー離れ。レジャー白書によると、スキー人口は映画「私をスキーに連れてって」(昭和62年公開)によって第2次スキーブームが起きた後の平成5年に1860万人のピークを迎えたが、19年は3分の1以下の560万人にまで減少した。

同白書を発表する社会経済生産性本部の主任研究員、柳田尚也さん(41)は「スキーは一緒に行く仲間を集める『仲間的』コストが高い。社会全体が忙しくなる中、数日間集まる余裕が若い世代になくなっている」と指摘。そのうえで「全体のスキー人口が減る中、業界にとって団塊世代は無視できない存在になっている」と話している。
(産経新聞)