日本の良好な雪質と低金利によって、ニセコや白馬などのスキーリゾートに対する豪州資本の投資熱が高まっている。10日付オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー紙は、クイーンズランド(QLD)州に拠点を置くハッチンソン・ビルダーズが総額2,000万豪ドル(約18億7,800万円)でニセコに建設中のリゾートアパート「アルペン・ビューズ」の発売を数週間以内に開始すると紹介。豪投資家の関心は「驚異的」だという。

「アルペン・ビューズ」(全26室)は7階建て。ハッチンソンが昨年、総額130万豪ドルで購入した区域(1,300平方メートル)内で、2件目のリゾート施設となる。
 
ハッチンソンは昨年、ニセコでのリゾートアパート第1弾「アルペン・リッジ」(総額2,300万豪ドル)を販売済み。全31室は豪州や香港の投資家が殺到したために、わずか1日で完売した。
 
豪地元紙によると、「アルペン・ビューズ」の設計は「アルペン・リッジ」と同じく日建設計(東京都千代田区)と、ブリスベーンに拠点を置くコティー・パッカー・アーキテクツが共同で担当。完工予定は来年9月で、各室の販売価格は32万5,000〜190万豪ドルに設定されている。
 
ハッチンソンのスコット・ハッチンソン会長は地元紙に対し、ニセコの物件について「特に豪州の投資家から驚異的とも言い得る関心が寄せられている」と主張した。
 
ニセコは過去4年間にわたり、豪州のスキーヤーに人気を博しており、豪不動産業者の中には長年同国人に親しまれてきたカナダのスキー場になぞって「次のウィスラーになる」と売り込む業者もあったほど。不動産コリヤーズによると物件の占有率は95%に上っており、旅行代理店フライト・センターは豪州人でニセコに旅行する人が2004年以来毎年2けた成長していると指摘した。こうした状況により、欧米人対応の「西洋化」した宿泊施設の予約が8カ月先まで埋まっているという。
 
ハッチンソンは、さらに「アルペン」ブランドの宿泊施設を増やしていきたい意向。同会長は「ニセコや周辺地域で予定地を積極的に探している」と述べた。
 
ただし、豪州の不動産業者の中には、ニセコのピークは過ぎたとの声も上がっている。日本でも本州に焦点を移動させつつある豪業者も少なくない。
 
■白馬への投資も活発化
 
こうした見方について、日本貿易振興機構(JETRO)シドニーの宮尾ビジネス開発課ダイレクターはNNAの取材に対し、次の動きとして「長野に投資のムーブメントが来ている」と述べた。
 
同ダイレクターは「白馬には日本だけでなく米国の資本も入っているので、整備が既に進められており、ニセコのような『豪州村』にはならないだろう」と説明。だが、スキー場ごと買収する豪企業こそないものの、日本企業の保養所や旅館などを施設単位で豪州資本が獲得するケースも増えていると述べた。
 
JETROシドニーが扱っているもので、ニセコに関する案件は数件程度と落ち着いてきているのに対し、白馬にかかわるものは「10件以上」(同ダイレクター)。1998年の長野五輪での知名度アップを背景に、昨年あたりから問い合わせも急増しているという。これらは不動産開発企業やファンドなどからの関心以外に、1億円前後の比較的小規模な投資が多い。
 
ロッジ運営やスキー用品のレンタルを行うような豪州の大手企業2〜3社も、白馬に関心を移している。ただ、白馬自体も過熱気味で不動産価格がピークに達しているとみる豪州関係者は、乗鞍や妙高高原の赤倉、上越などのスキーリゾートにも注目。宮尾ダイレクターは、「豪州側が志賀高原や、例えば北海道でもニセコ以外の富良野などを投資対象として考える可能性もあり、実際に蔵王を視野に入れている業者もあった」と指摘している。
 
JETROによると、日本のデベロッパーは現在、観光関連開発の中でもビーチリゾートなどに注力する傾向があるという。このため、どちらかというと力が入っていないスキーリゾート開発を外資が行うことについて、日本の地元は概して歓迎している状態。同ダイレクターは「豪州人スキー客も連れてくるといった波及効果もある」と説明した。
(NNA)