昨年11月に雪崩で4人が死亡した十勝連峰・上ホロカメットク山(1920メートル)の周辺山域で、03年以降の雪崩の報告数がそれ以前の10倍に当たる年平均8・2回に急増していることが、山スキー愛好会「三段山クラブ」の大西人史代表の調べで分かった。入山者の目的が、かつての登山から新雪を求めるスキーやスノーボードの滑降に変わり、雪崩が発生しやすい谷に入ることが原因とみられる。

◇スキーヤーら、新雪求め谷へ
大西代表は十勝連峰南西部の上ホロカメットク山と富良野岳、三段山、前十勝周辺で、雪崩の数と入山者の行動ルートを調べた。

それによると、1935〜74年の雪崩報告は年平均0・18回で、ルート開拓期だった初期に年1、2回あった以外はほとんどなかった。この時代は、雪崩が発生しにくい尾根を往復していた。各地の山岳会が冬山訓練などで多数入るようになった75〜2002年でも年平均0・82回にとどまっていた。

しかし、03年以降は毎年4〜10回の報告があった。シュプールのない新雪を求めるスキーヤーらが、従来は踏み込まなかった谷を滑り下りるのが原因とみられ、人が雪崩を誘発したり、目撃したりすることが多くなり、犠牲者が出る危険性が高まっている。

また、▽全地球測位システム(GPS)の普及でルートを見失うことが少なくなり、雪崩が発生しやすい悪天候時でも行動できるようになった▽幅の広いスキーが普及して深い新雪での操作が楽になった▽インターネットの普及で新しいルート情報を得られやすくなった――ことも背景にある。入山者も増えており、入山届を基に推計すると、今年の冬山シーズン(5月まで)は前年比15%増の約3200人が入山する見込みという。

大西代表は「最近のスキーヤーらの気持ちを抑えることは難しい。その代わり、どんな時に雪崩が発生しやすいかなどの知識を付け、雪崩に埋まった場合に捜索の手がかかりとなる電波発信機(ビーコン)を携帯するなど、装備を整えることが大切」と話している。
(毎日新聞)