韓国人観光客が岩手のスキー場に流れ出した。勢いを止めないために、民と官が動き出した。

◇レジャー熱高まり
00年は1207人だった韓国からの観光客。02年のソウル事務所開設を機に03年は2571人に倍増し、06年には1万1948人までに。ゴルフやスキーを楽しむ場合が多く、背景には韓国内でのレジャー熱の高まりがある。

シーズン間近のスキーについて、韓国観光公社仙台支社は「韓国の代表的なスキー場は14カ所だけ」。雪質も水分が多い重い雪で人気は今ひとつと言う。

韓国の旅行代理店「モードツアー」のヤン・コンソクさんは、「韓国人向けの利用価格が安くなってきたのも一因」と言う。韓国国内で2泊3日するのと大差なく、日本ではリフトの待ち時間がほとんどないと利点を説明する。

◇県もバックアップ
国際観光振興機構(JNTO)の調査によると、06年12月から07年3月までの訪日スキー客は、北海道4047人▽山形県2809人▽長野県2683人▽岩手県2539人――と、青森県1599人や秋田県700人を大きく引き離す。

安比高原ツアーを企画・販売するヤンさんは「安比高原や雫石スキー場の規模の大きさが他県にはない岩手の魅力だ」と分析する。

スキー場側でも空港からの送迎バスを用意したり、韓国語に堪能なスタッフを雇うなど積極的な取り組みを行っている。

県も05年から旅行代理店と県内のスキー場やホテルをつなぐ商談会や視察会などを実施してバックアップ。7日には国の観光立国政策の一環で、韓国の旅行代理店が安比や雫石などを視察した。

◇空港アクセスが課題
一方で岩手特有の課題もある。青森県は週4便、秋田県は週3便のソウル便を持つが岩手県には直通便がない。韓国の通信社「聯合(れんごう)ニュース」のイ・ジンオク記者は「客は現地での長い移動時間を嫌う。一番の課題は空港からのアクセスだ」と指摘する。

県内のスキー場までの所要時間は青森から約2時間、秋田から約3時間。安比高原スキー場からは青森や仙台への送迎バスを提供するが、同スキー場を経営する岩手ホテル&リゾートは「距離を考えると無料にできず価格に反映せざるを得ない」と不利な立場を打ち明ける。

だが、「安さで勝負はしない。雪質と大規模スキー場の特徴を売り込んでいく」と同社の大畠孝志営業本部長。同社は今月、韓国事務所を設立し、現地での情報収集を開始。またスキーツアーを音楽イベントと組み合わせるなど、他スキー場にはない商品で差別化を図っていく方針だ。
(毎日新聞)