◇豪州人スキーヤーに人気の…ニセコ地域
上質なパウダースノー目当てに大勢の豪州人スキーヤーが訪れるニセコ地域(後志管内倶知安町、ニセコ町)に、アジアからも注目が集まっている。倶知安町花園地区を開発しようとしていた豪州資本を今年8月、香港資本が買収し大規模なリゾート開発をもくろむ。同町では昨年度の香港人宿泊者数が前年度比3倍を超える伸びを示したほか、シンガポールや台湾などの宿泊者も増加傾向だ。客層の多様化に地元でも、国際的リゾートに成長させようと機運が高まる。

□■主役が交代
新たに開発に乗り出したのは、香港の大手通信会社「PCCW」(リチャード・リー会長)の系列で不動産部門を担当する子会社「パシフィック・センチュリー・プレミアム・ディベロップメンツ(PCPD)」(ロバート・リー社長)。倶知安町花園地区で、大規模リゾート開発を計画していた豪州系リゾート会社「日本ハーモニー・リゾート(NHR)」(コリン・ハックワース社長)の株式を100%取得し、参入を果たした。

NHRは花園地区の再開発を目的に04年に設立された。東急不動産からスキー場と周辺の土地約180ヘクタールを買い取り、総勢約8000人を収容する宿泊施設群を15年かけて建設する計画を発表していた。だが出資者が現れないまま、土地は手つかずで放置されていた。

□■来年にも着工
PCPDは年間売上高1000億円と豊富な資金力を持つが、スキーリゾート開発の経験はない。そのため、スキー場運営を手がけ、地元とも面識のあるハックワース氏をNHRの社長にとどめた。グループ内の日本企業「新日本PCG」(東京都)によると、従来の計画は白紙に戻し、年内をめどに新たな開発計画を立案する業者を選ぶという。来年までに一部を着工したい考えだ。

新日本PCGの東福寺なおみ・執行役員は「NHRの計画とそれほど変わらないと思うが、現在は資金面などで裏付けをし直している段階。この地区が魅力的なのは広大な土地をまっさらな状態から開発できること。世界に誇れるリゾートにしたい」と話している。

□■地元も熱望
ここ数年豪州資本による開発が進んだのは、ニセコアンヌプリ南東側の同町ひらふ地区だけだった。花園、ひらふ両地区はいずれも同じスキー場に接するが、ひらふ地区が約180の宿泊施設で約6600人を収容できるのに対し、花園地区はほぼゼロ。集客の可能性を秘めた花園地区の開発を地元は熱望していた。

倶知安町の福島世二町長は「花園地区が開発されれば地元に大きな恩恵をもたらしてくれる。NHRが計画を進められなかった経緯もあるので手放しでは喜べないが、今度こそ計画が進むものと期待している」と語る。

◇相乗効果、広がる客層
倶知安町によると、昨年度同町に宿泊した香港人は前年度の約3・4倍にあたる延べ1万4187人。アジア圏ではシンガポール(昨年度延べ1858人)や台湾(同603人)などが数字を伸ばすほか、欧米各国もおおむね右肩上がりで増加する。外国人全体の宿泊者数は20%増の延べ9万1470人。豪州は4%増の延べ7万335人と鈍化しているだけに、客層の広がりが全体の集客増を維持した形だ。

ニセコブームに火がついたのは、01年9月の米同時多発テロがきっかけとされる。従来、北米のリゾートに足を運んだ豪州人が近くて安全な日本に注目し、02年度以降の増加につながった。アジア圏からの観光客増加は、レジャーに敏感な富裕層をターゲットに国内外の旅行代理店などが積極的にニセコをPRしたことが要因とみられる。

一方、倶知安町と隣接するニセコ町は、10年ほど前から海外旅行客を誘致しようと、台湾などのアジア圏を中心にPRを重ねてきた経緯がある。昨年度の外国人宿泊者数は延べ2万4313人と倶知安町の26%に過ぎないが、アジアに限ると同町より多い延べ1万8409人。01年度は外国人全体で6121人だったことから、倶知安町との相乗効果が表れていることは間違いなさそうだ。

今年9月、倶知安、ニセコ両町の観光振興を目的に設立された中間法人「ニセコ倶知安リゾート協議会」の國枝弘二事務局長(42)は「倶知安のひらふ地区ばかりが注目されるが、ニセコ地域にはほかにもいろいろな場所があることを伝え、客層も楽しみ方も幅を広げたい」と話している。
(毎日新聞)