旧三岳村(現木曽町)で03年10月、「御岳ロープウェイ」のゴンドラが支柱に衝突し、長崎県の夫婦が転落死した事故。地裁松本支部(荒川英明裁判長)で検察側は22日、運営会社の元常務、谷本勉被告(68)ら4人に禁固3年〜2年6月を求刑した。「予見可能性はなかった」などと無罪を主張している4人は足早に法廷を後にした。一方遺族は「悪いことは悪いと思ってほしい」と訴えた。

スーツ姿の谷本被告らは4人は、うつむきながら検察側の論告に耳を傾けた。公判では事故原因と予見可能性が争点となった。検察側は「部品の摩耗を知りながら交換を先延ばしし、安全管理を怠った。被告は整備の必要性を認識しており、点検整備を行っていれば事故は防げた」と指摘。「当然停止して振り子のように振り回されたゴンドラから転落し、死に至るまでの苦痛などを考えると身体的、精神的被害は筆舌に尽くしがたい」などとした。

死亡した峯仁義さん(当時70歳)と幸子さん(当時62歳)夫妻の次男の峯宇志夫さん(42)と長女の下野布由紀さん(38)は、公判が開かれるたび県外から訪れ、10回以上も裁判所に足を運んだ。公判後、宇志夫さんは「求刑が重いか軽いかは分からない。しかし(検察側は)遺族の思いを話してくれた」と話した。一方で「被告はころころと主張を変えている。対応が不誠実だ。(被告)4人の意見を聞きたいし、悪いことは悪いと思ってほしい」とした。また、下野さんは「両親はもう戻ってこない。二度とこのような事故が起きないよう、被告を厳罰に処してほしい」と訴えた。最終弁論は12月25日に行われ、結審する予定。【福田智沙、光田宗義】

◇御岳ロープウェイ事故の経過
03年10月15日 「御岳ロープウェイスキー場」で、運行中のゴンドラから長崎県佐世保市の夫妻が転落して死亡

同12月 5日 国交省設置の事故調査検討委員会が調査報告書をまとめる。「握索装置の部品が摩耗したことなどが事故につながった」などと指摘

同12月16日 国交省が「御岳ロープウェイ」に事業改善命令を出す。ロープウエー運行会社に対する全国初の行政処分

05年 7月11日 木曽署が事故当時の現場の総括責任者だった常務や運行担当者ら計4人を、業務上過失致死容疑で地検松本支部に書類送検

同12月28日 地検松本支部が被告4人を業務上過失致死罪で在宅起訴
06年10月 2日 地裁松本支部で初公判。4被告全員が無罪を主張
07年10月22日 論告求刑公判

同12月25日 最終弁論(予定)
(毎日新聞)