◇「どうなるの」地元驚き−−「事前に伝えてほしかった」
彦根プリンスホテル(彦根市)や箱館山、国境両スキー場(いずれも高島市)などの売却方針を11日に発表した近江鉄道(本社・彦根市)。それぞれの地元では驚きが広がった。彦根プリンスホテルは昭和天皇が宿泊されたり、22回連続で将棋の「王将戦」が開かれた名門ホテルだけに、「どうなるの」と心配する声が上がった。

◆プリンスホテル◆
記者会見した中村隆司常務は「地域への影響を最小限にするため、事業と雇用の継続を前提に交渉中で、資本力のある事業者に売却したい。プリンスホテルの名称が残るかは譲渡先との話し合いになる」とした。
同ホテルは81年7月の開業。社員66人で客室102室。この15年間の利用者は96年の約24万6500人が最多で、昨年は約19万7000人。開業以来赤字で、多い年は1億円前後、昨年は約4000万円に上った。

同社によると、既に売却方針は各施設で説明され、従業員から強い反対意見はなかったという。

同ホテルの開業時から約20年間勤務し、支配人も務めた若林敏彦・同社観光部長は「利用者に申し訳ないが、新しい経営力のあるところがきちんと(ホテルを)運営されることを期待したい」と寂しさをのぞかせた。

また、正月恒例の王将戦の今後は未定で、地元の将棋ファンは「王将戦は続けてもらえるのか」と心配している。

◆箱館山スキー場◆
箱館山スキー場(高島市今津町日置前)は62年の開設。社員13人で、冬季従業員は約100人。この15年間の入場者は95年の約18万人がピークで、06年は半分以下で、1億3700万円の赤字。

スキースクールを開く地元の古谷正次さん(61)は「今春から、うわさが出ていた。売却先はスキー場を続けてほしい」。かつて民宿を経営していた70代の女性は「昔は週末にスキー客の車が何台も連なっていたが、最近は、まばら。でも、地元はスキーをする子どもが多く、閉鎖して練習場所がなくなるとすれば、かわいそう」と話した。

市のある幹部は「売却先は12月には決定するらしいが、同スキー場は地域の観光拠点の一つ。売却先と良好な関係を続けたい」と語った。

◆国境スキー場◆
国境スキー場(同市マキノ町野口)は65年の開設。社員2人で、冬季従業員約90人。98年の約11万人がピークで、昨年は雪不足もあって1万人に激減し、1億円以上の赤字という。

同スキー場は、地元が西武グループに開発を要望した経緯があり、80年代は民宿が十数軒あったが、客が減り、今では3軒に。同町観光協会の古本勇義会長(71)は「買い手があるのか分からないが、もし閉鎖されれば、民宿はもう経営できない。売却するなら、前もって地元に伝えてほしかった」と無念の表情だった。
(毎日新聞)