スピーチする倶知安町の福島町長(NNA写す)(NNA)日本貿易振興機構(JETRO)は3日、豪貿易促進庁(オーストレード)と共催している毎年恒例の日本投資セミナーをニューサウスウェールズ(NSW)州地域開発省の貿易投資センターで開催した。今回のテーマは「ニセコ・ウインター・リゾート」。集まった70人余りの聴衆は、既に豪州人からの注目度が高まっている北海道のニセコ周辺地域の事例を熱心に聞き入っていた。

JETROとオーストレードによる日本投資セミナーは、1日にブリスベーンで既に行われており、5日にはメルボルンでも開催する予定。シドニーのものは、財団法人・貿易研修センターと日本の経済産業省・北海道経済産業局の協賛を受けている。
 
最初に講演したのは、オーストレード札幌オフィスのフィリップス氏。日本の現在の市場環境について、豪州にとってはかつてない良好な状況であり、豪州企業や豪州人投資家の日本での認知度自体も上がっていると説明した。
 
続いて具体的な地域の実例として、倶知安町の福島町長が英語でスピーチ。ジャガイモの産地であり、「蝦夷富士」と呼ばれる羊蹄山を抱える同町の自然豊かな環境を紹介した後、1990年代初頭に移住した豪州人によってまずラフティングなど夏期観光需要が成長し、2000年以降にはニセコ周辺のスキー場が多くの豪州人スキーヤーを集めていることなどに言及した。
 
同町の昨年度の外国人観光宿泊者数は、延べ人数で9万1,470人。このうち豪州人は全体の76%(7万335人)を占めているという。
 
同町長は、外国人観光客の長期滞在に伴い、経済効果や住民の異文化交流の活性化が期待できるとコメント。ニセコに外国人向け高級ホテルが不足していることから、この分野への投資拡大に期待感を示した。
 
同町でコンドミニアムの開発、販売を行う北海道トラックスのロビンソン社長は、日本では西欧で成功したノウハウが東京の一部などを除くと利用されていないと指摘。地方部にある独特の商習慣などの難しさがあるとはいえ、海外からの投資受け入れに徐々に慣れてきていると語り、ニセコやヒラフに対する投資の魅力をアピールした。
 
■「障害は克服可能」
休憩を挟んで、JETROシドニーのテイラー氏が豪州企業に対する支援方法などを説明した。
 
同氏は、日豪両国が活発な貿易関係を築いていると述べた上で、豪ドル円安という現状の中で日本にオフィスを構えることの利点を強調。日本は投資物件が高額で、規制も多いというのは誤解が少なくないと訴えた。
 
ただし英語での情報収集が容易ではないことなど、障害が皆無とは言えないとした上で、克服することは可能と主張。投資への道筋を、難しいとされる東京の地下鉄の乗り換えに例え、JETROが豪企業の手助けをすると述べた。
 
 のほかにも、以下の2人がスピーチした。◇サンサポート北海道(JTBグループ)の江利・南アジア・オセアニア担当チーフ――豪・ニュージーランドの在住経験を基にニセコの観光地としての魅力を紹介◇国際観光振興機構(JNTO)シドニー事務所の垣本マーケティング&イベントマネジャー――「ビジット・ジャパン・キャンペーン」による5つの豪州向け戦略の中で、特に「スキー・ジャパン」と「サマー北海道」の2つに力を入れたプレゼンテーションを実施。
 
JETROシドニーの宮尾ビジネス開発課ダイレクターはNNAの取材に対し、「今まで東京や大阪を中心に扱ってきたが、豪州企業や豪州人投資家にとってあまりに大きく、競争が激しい市場だった。地方都市でも十分なサイズの市場があるので、今回は中でも既に豪州人のプレゼンスが高いニセコを選ぶことになった」と述べている。
(NNA)