豪州の著名な投資家2人が、日本のスキーリゾート計画を香港の開発企業に売却した――20日付オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー紙が報じている。香港通信大手PCCW傘下の盈大地産(PCPD)はこのほど、北海道のニセコでリゾート開発を予定している日本ハーモニーリゾート(NHR、北海道虻田郡)の発行済み株式100%を買収したと発表。NHRの豪州人経営者陣は、「頼れる」投資家を探していたと説明している。

NHRは、まもなく退任するカンタス航空のジャクソン会長の夫であるドナザン会長や、豪州でスキー場運営経験豊富なハックワース社長に率いられている。
 
一方のPCPDは、香港と北京で不動産開発を手掛けており、スキーリゾート開発参画はこれが初めて。
 
今回の売却額は非公表。NHRは2004年、東急不動産からニセコの花園スキー場を2億円で買収し、ゴルフ場を併設した110ヘクタールの土地にリゾート施設の建設を進めていた。
 
株式自体はすべてPCPDに譲渡され、ドナザン会長は相談役となるものの、ハックワース社長は現職にとどまるという。
 
同社長は、プロジェクトを次の段階に押し上げる「兄貴分」のような投資企業を探していたと説明。ニセコのリゾートについては、ビクトリア州のマウントハザム、フォールズフィールドの両スキー場を運営していた時期(2003年)の休暇中に見つけたもので、世界でも最高の場所に位置しているとの自信を示した。
 
国際観光振興機構(JNTO)シドニー事務所の堀内所長は、今回の決定で豪州人スキー客の日本訪問が減るかどうかを聞いたNNAの質問に対し、「ニセコでは既に多くの企業が宿泊施設を整備しており、日本ではほかにも、白馬や新潟、東北など豪州人の訪問数が伸びている地域がある。影響は少ないとみているが、今後の動きを注視したい」と答えている。
 
■開発計画の見直しも
同リゾートは、ベット数8,000床が予定されており、総額1億米ドル(1億1,985万豪ドル)に上る6つ星ホテルの建設も検討されていた。
 
PCCWグループの日本の出先機関に当たる新日本PCGの東福寺・執行役員はNNAの取材に答え、「従来の計画については現在、見直しているところ」と説明した。
 
さらに、集客先が豪州から香港や中国にシフトするのではないかとの懸念には「もちろんPCPDには、それらの地域でのサービスアパート運営などのノウハウがあるので、市場として考えることになるが、あくまで株主が香港企業になっただけ」と述べた上で、開発や運営は従来通りの体制で行うことを強調。「今後の開発によっては、便利になって魅力が増し、より多くの豪州人スキー客を集めるようにできる」との見解を示した。
 
PCPDはNNAの取材に、「開業時期など具体的なスケジュールは未定だが、企画デザインのコンペは現在進行中。香港だけでなく、東南アジアや近年、出国規制の緩和が進む中国本土からの旅行客、特に富裕層をターゲットとし、日本の四季を満喫できる世界クラスのリゾート建設を目指している」と話していた。
 
買収当時に低迷していた同スキー場の利用客は、豪州人の人気スポットとなったこともあり、約2万人まで上昇している。
 
なお、豪貿易促進庁(オーストレード)は今年、シドニーで行う毎年恒例の貿易セミナーで「ニセコ・ウインター・リゾート」を取り上げる。豪企業の日本のスノーリゾート誘致を目的とする同セミナーは、来月3日に開催する予定。

NHRのハックワース社長は、長期滞在型のリゾートモデルが日本のスキー場に足りない部分だと指摘した。豪州をはじめとする海外からのスキー客増加を受け、北海道ではスタイルのリゾート施設が多く構想されているという。
(NNA)