松本市などが出資する第三セクター「乗鞍観光」(中澤隆司社長)が運営する乗鞍高原温泉スキー場(同市安曇)の再建問題で、当初予定されていた今シーズン(12月)からの民営化が見送られていたことが11日、分かった。7月に設立され、運営を担う予定だった新会社「まつもとリゾートサービス」(同市)に十分な出資金が集まらないためで、今シーズンの運営は引き続き乗鞍観光が行うことになった。【光田宗義】

同市などの計画では、乗鞍観光とコンサルティング契約を結んでいる「エボン」(東京都港区、坂倉海彦社長)が7月に新会社を設立。同市内の企業10社以上に呼び掛けて1億円を目標に出資を募り、今シーズンから同スキー場の運営を引き継ぐ予定だった。

しかし、これまでに新会社への出資はエボンからの数百万円だけ。新会社の社長でもある坂倉社長は「運営を引き継ぐには、それなりの規模、信用力が必要。今シーズンからの民営化は延期せざるを得ない」として民営化への見通しが付かない状態になっている。理由について「低迷しているスキー産業に出資して大丈夫なのか、という不安が大きい」(同社)と、スキー不況をあげる。

しかし、坂倉社長は「スキーだけでなく、乗鞍高原一帯を四季を通じて集客できるリゾート地として発展させ、地域産業を育てるという計画自体は賛同を得ている。これからも努力を続けたい」と話している。また、同市では「民営化の必要性は認識しており、引き続き出資への理解を求めたい」としている。

同スキー場の利用者は92年度の51万人から年々減り、06年度には10万3000人に減少。累積赤字も06年6月末の時点で、9億2800万円に達しており、スキー場の再建が迫られていた。このため、同市などはスキー場の所有権はそのままで、新会社に施設などをリースする「上下分離方式」を採用する再建策を5月に発表していた。
(毎日新聞)