ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米クイックシルバー(NYSE:ZQK)は、2年前に買収したばかりの欧州のスキー用品メーカー、ロシニョールを手放す方向へ向かう可能性がある。そうすれば、同社の株価が大きく上昇するきっかけとなるとアナリストらは予想する。

スケートやサーファー用のウエアで知られるクイックシルバーが先月発表した2−4月期(07年10月期の第2四半期)決算は、四半期ベースで1992年以来初の赤字となった。主因は、2005年のロシニョール買収でスキー事業に参入したことだった。成長機会をもたらすとみられていたロシニョールだが、今や同社の足を引っ張る存在となっている。

スノーボード、スキーなどいわゆる”ハード・グッズ”で知られるロシニョールを、アパレル、スポーツウエアで成長してきたクイックシルバーが買収することは、意外な選択とみられていた。3億0500万ドルを投じての買収は、470億ドル規模のアウトドア市場への攻勢に弾みをつけると期待されていた。

しかし2006−2007年の冬は、北米、欧州とも降雪量が記録的な低水準となり、スキー客が激減。スキー用品店へ足を運ぶ顧客はそれよりさらに落ち込んだ。

売り上げの減少とともに株価も下落。3月には52週安値の10.90ドルをつけた。ただ「ロキシー」、「DC」などのアパレル事業の業績が堅調なことから、その後は持ち直している。6月29日終値は前日比44セント(3.21%)高の14.13ドル。08年10月期の予想1株利益ベースで株価収益率は約16倍と、同業と同程度となっている。

しかしロシニョールが重荷となるとのアナリストの見方は払しょくされていない。

クイックシルバーは、ロシニョールを売却することで完全に振り出しに戻るべきかどうかを検討している。売却価格が買収価格を下回ることは確実視されているが、不透明要因のひとつが除去されることで同社株に対する関心は高まると予想する声が聞かれる。クイックシルバーの時価総額は約17億ドル。

ウッドブッシュ・モルガン・セキュリティーズのスポーツウエア業界担当アナリスト、ジェフ・ミンツ氏は「おそらくロシニョールを全部あるいは部分的に売却するのだろう」と予想。同氏もロシニョールの業績低迷は気候のためだったとみるが、再び暖冬にさらされるリスクを負うよりもスキー事業から手を引いたほうがよいとみている。投資判断は「ホールド」としている。

クイックシルバー自身、スキー用品事業からの撤退を検討していることを示唆している。先月の決算会見で、ロバート・マクナイト最高経営責任者(CEO)はロシニョールについて、「すべての戦略的可能性」を検討しているとした。

「われわれはハード・グッズについて、すべての代替案を検討している。すべてがテーブル上にある」と同CEOは語った。

クイックシルバーは、痛手を和らげるための他のステップはすでにとっている。ロシニョールの大幅減産に向けて動き、冬のシーズンに入る前から欧州の主要工場を閉鎖する措置を打ち出した。これは今夏終わる見込み。マクナイトCEOはまた、欧州大陸のロシニョールの事務所を17から3に減らした。

クイックシルバーのブランドでウォール街で不評なのはロシニョールだけではない。ゴルフクラブなどを製造するクリーブランド・ゴルフは今四半期に売り上げが6%落ち込んだ。クイックシルバーは6月26日、クリーブランド・ゴルフの未保有株をすべて取得すると発表した。これは同部門売却に向けた序曲とアナリストらはみている。

Bライリーのアナリスト、ジェフ・バン・シンデレン氏は、ロシニョールのハード・グッズ部門を売却し、ライセンス権利は保持するよう提唱する。クイックシルバーのアパレルブランドは売り上げが好調で、ロキシーは20%、DCシューズは60%伸びている。アナリストらは、スキーシーズンにふさわしい気候となれば、アパレルのみのロシニョールは同様な数字を達成できるとみている。

クイックシルバーがロシニョールを全面的に売却することを決めた場合、「買収するために支払った金額では売れないことは確かだ」とバン・シンデレン氏は述べた。同氏はクイックシルバー株の投資判断を「バイ」としている。

ラザード・キャピタル・マーケッツのトッド・スレーター氏などのアナリストも、ロシニョールを売却すれば、クイックシルバー株をより好意的にみるだろうと言う。スレーター氏の現在の投資判断は「バイ」。

「(ロシニョールを売却すれば)リスクリワードレシオと業績は改善し、株価は上昇するだろう」とスレーター氏は述べた。

(7月2日付のHeard On The Streetより)