ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米クイックシルバーは、欧州のスキー用品メーカー、ロシニョールを買収してから2度目の冬が記録的な暖冬となったことが業績を直撃し、株価が急落している。一部の投資家は、クイックシルバー株がさらに坂を滑り下りるのではないかと懸念している。

クイックシルバーは昨年12月時点では好調だった。8−10月期(2006年10月期の第4四半期)決算が好調だったほか、2005年7月に約3億0500万ドルで買収したロシニョールの事業統合がほぼ完了したと発表したことなどから、株価は52週高値をつけた。

クイックシルバーは、470億ドル規模のアウトドア市場に参入する戦略の一環として、ロシニョールを買収した。人気ブランドの「クイックシルバー」、「ロキシー」をスキー用品に広げることに加え、ロシニョールブランドのスキーウエア、アクセサリーなどによりファッショナブルなラインを加える機会ととらえていた。

しかしクイックシルバーが先週8日発表した11−1月期(2007年10月期の第1四半期)決算は、純利益が247万5000ドルと、前年同期の1860万3000ドルから86.7%急減した。特に欧州で記録的な暖冬となったことから、小売業者は大幅な値引きを余儀なくされ、新規の発注を抑えた。

クイックシルバーのロバート・マクナイト会長兼最高経営責任者(CEO)がアナリストらに語ったところによると、ロシニョールの受注は20−25%落ち込んでおり、一部の小売業者は今冬のロシニョール製品をしまい込み、次の冬のためにとっておいているという。

これを受け、複数のアナリストがクイックシルバーの投資判断を引き下げ、同社株は決算発表の翌日、52週安値の10.90ドルをつけた。同社株は12月の水準を32%下回っている。15日終値は前日比20セント(1.79%)高の11.40ドルだった。時価総額は約14億ドル。

ウェドブッシュ・モルガン・セキュリティーズのアナリスト、ジェフ・ミンツ氏によると、クイックシルバーの株価収益率は、07年10月期の予想1株利益ベースで約20倍。これはアパレルセクター全体よりやや割高だが、最も近い競合相手であるボルコム(Nasdaq:VLCM)よりは割安。

マクナイトCEOは、失望される11−1月期決算は「史上最悪の積雪期のひとつ」が原因としている。「最近の業績について、われわれは当然満足していないが、将来の展望については引き続き非常に自信がある。ロシニョールの統合は順調であり、クイックシルバー、ロキシー、DCなど当社のコアブランドはすべて極めて好調だ」とコメントした。

多くの欧州のリゾート地と、一部の米国のリゾート地が雪不足となったことは、この業界の企業の大半にとり、打撃となっている。クイックシルバーのベルナール・マリエット社長によると、スノースポーツ業界全体で受注が大きく落ち込んでおり、スノーボードの受注は5−15%、アルパインスキーは10−20%、クロスカントリー用品は20−30%、世界的に減少しているという。

クイックシルバーの11−1月期は、クイックシルバー、ロキシー、DCの中核ブランドの売り上げが17%増の4億0900万ドルと好調だったものの、ロシニョール、「クリーブランド・ゴルフ」などを含むスポーツ用品の売り上げは25%減の1億4300万ドルだった。クイックシルバーの決算はすでに1回下方修正していた見通しを下回り、同社は通期の見通しを引き下げた。

気象条件にかかわらず、ロシニョール買収に伴う難しさは続くと予想する声も聞かれる。アナリストらは、スキー用品市場で厳しい競争にクイックシルバーが直面すると指摘する。100年の歴史があるロシニョールは、欧州ではブランド認知度が高いが、米国ではそれほどではない。クイックシルバーやロキシーなどのコアブランドの需要が減速した場合、クイックシルバーが、10億ドルに上る債務を大きく減らすのに必要な現金を十分生めない可能性を一部は懸念している。

その一方で、今回の株価下落は「素晴しいブランドを安値で買う機会」(ラザード・キャピタル・マーケッツの小売りアナリスト、トッド・スレーター氏)との声もある。

クイックシルバーの投資判断を引き下げたアナリストらは、次のスキーシーズンが今年より改善するとの兆しがみられるまで、様子見する姿勢だ。
(Heard On The Streetより)