◇暖冬異変
雪下ろし中の事故などによる死傷者251人、乳頭温泉郷での雪崩など多くの被害が出た昨冬の豪雪とは一変し、暖冬の県内。秋田市のスキー場は雪不足の直撃でいまだ営業を開始できず、暖房器具は売れ残り、自然界でも異変が見られる。除雪に苦しめられないのはありがたいが、あまりの雪不足も……。そんな嘆きの声も聞こえる暖冬県内事情を取材した。

◇列島全体が…
秋田地方気象台によると、ペルー沖の海水温度が上がるエルニーニョ現象が起こる一方、北極が寒気を放出する「北極振動」の働きが不十分なことから、日本列島全体が暖冬傾向となっている。昨年12月の秋田市中心部の平均気温は3・6度と、例年より0・8度高い。今年1月中旬の最深積雪量は5センチと、例年の21センチには遠く及ばない。同気象台によると、今冬いっぱい、このような天候が続く見込みだという。

◇5センチじゃ滑れない
秋田市仁別蛇馬目沢の太平山スキー場オーパスの積雪量は、23日現在、約5センチ。滑るには最低でも20〜30センチの積雪が必要で、人工降雪機も気温が高すぎて十分に機能しない。同スキー場や温水プール「クアドーム ザ・ブーン」などを経営する太平山観光開発株式会社の高橋裕美取締役は、「雪不足は天災と同じ」と嘆く。同スキー場での滑り始めがもっとも遅れたのは00年で、1月23日だったが、今年は24日以降もしばらくは滑れない見込みだ。泊まり込みのスキー教室を予定していた市内の各小学校も、2月に教室を遅らせたり、温水プールや雪遊びに変更するなどしている。また、2月4日に開催予定の秋田市民スキー大会兼中学校総体スキー大会の日程は、積雪の様子を見て26日に検討し直すという。

◇出番5回だけ
昨冬は12月以降ほぼ連日、除排雪のため出動した秋田市の除雪車両。今年は、小型ロータリー車8台を新たに購入、除雪ドーザー車27台をレンタルして、従来と合わせ計105台体制で備えたが、出動は23日現在で計5回。市道路維持課雪担当の長谷部秀徳主席主査は「雪がこんなに少ないとは」と拍子抜けしながらも、「昨年は暖冬だと言われながら大雪だった。今年の冬も終わるまでわからない」と、気を引き締めていた。

◇暖房器具も売れず
冬物商戦も、昨年度とは異なる様相。秋田市内のある家電量販店では、FFヒーターやファンヒーターなど、灯油を使った暖房器具の売れ行きが昨年度の7〜8割にとどまる一方、セラミックヒーターなど補助的な暖房器具が好調らしい。

秋田市中通2の秋田西武では、予算比ベースでは売り上げは伸びているが、商品の動き方が昨冬と違うという。ジャケットやコートなどの冬物衣料は、昨年度は11月末には人気ブランドを中心に品薄状態となったが、今年度は12月に入ってようやく売れ始めた。

◇異変
自然にも異変が現れている。秋田県庁の中庭の駐車場に植えられているキンキマメザクラは、昨年11月ごろから部分的につぼみが花を咲かせており、「雪が降る中でサクラが咲くなんて」と職員らを驚かせている。例年の咲き始めは4月上旬だという。

また、秋田市雄和種沢では今月12日、1頭の子グマが県道を横切るのを目撃され、暖冬のあまり冬眠から覚めたのかと騒ぎに。

しかし、地元猟友会などによると、どうやら親グマが駆除されるなどして冬眠の方法を伝えてもらえず、そのまま冬を迎えてしまったらしい。21日にも近くで目撃されており、「いくら暖冬でも食べ物は十分ではない。冬を越せるだろうか」と心配する声も。
(毎日新聞)