◇生き残りかけ客層限定も
市営スキー場5カ所を抱える石川県白山市で、施設の存廃や経営のあり方をめぐる議論が活発になっている。同市は昨年、1市2町5村の合併で誕生したが、白山麓の旧5村がそれぞれ持っていた村営スキー場を引き継いだ。三セク経営を含めると6カ所になる。スキー人気の低迷が続く中、5カ所の05年度決算は、公債費などを除く営業ベースで計2億8900万円の赤字。累積の赤字は9億2800万円にのぼる。待ったなしの取り組みが迫られ、同市は来年、結論を出す予定だ。今シーズンは、大雨による土砂流出で休止される「鳥越高原大日」(旧鳥越村)を除いて、オープンの準備が進んでいるが、廃止論が強いスキー場の周辺住民には不安が高まる。

◆提言
同市は、東京のコンサルタント会社に経営分析と今後のあり方について提言を委託。11月21日に結果が発表された。6カ所は「明暗」が分かれた。

「一里野温泉」「金沢セイモア」と三セク経営「瀬名高原」の計3カ所は「継続し機能を強化する」と位置づけられた。一方、「鳥越高原大日」「白峰温泉」の計2カ所は「対象者(客層)を限定し、将来的に廃止や用途変更も視野に入れる」。「中宮温泉」は「規模を縮小し、将来的に廃止や用途変更をする」とされた。
 採算性を元にズバズバ切り込む提言を聞いた住民からは、「スキー場の公共性をどう考えるか」という質問が出たが、議論はかみ合わなかった。

◆存廃
最大の問題は「供給過剰」。6カ所で計2万9300人の利用が可能だが、利用は1年の最も多い日でも1万5000人。提言は供給を4割減らすことを目指した。「鳥越」は「収益性」、「白峰」は「立地」、「中宮」は「南斜面で条件が悪い」ことを理由に、「廃止」側に振り分けられた。

「存続」3カ所について同社は、経営を一括して「プロ」に任せるべきだとした。一括経営で、費用を減らせるほか、各スキー場の性格を明確にして、利用客にアピールしようという狙いだ。

◆不安
「廃止」側に分けられたスキー場の周辺関係者には、不安が高まる。「中宮」近くでペンション「ヨーデル」を営む遠藤富士子さん(50)は、「確かにお客さんが少なく、仕方ない面はあると思う。本当に廃止されたら、うちも(廃業を)考えないといけない。でも、いつ、具体的にどうなるか、はっきりしない。市は私たちにまずしっかり説明してほしい」と、説明不足の市に不満を漏らす。また、「スキー場がなくなったら、これまでのようにしっかり道路の除雪をしてくれるかも心配」という。

「白峰」の地元では、独自の取り組みを始めた。同スキー場は上・中級者向きのコースが多く、競技会で使われてきた歴史がある。関西からの利用者の割合が高い。白峰観光協会は、スキー部がある関西の大学に営業をかけた。民宿利用とリフト券込みの格安プランをアピールするチラシを配ってきた。同協会副会長の織田毅さん(38)は「昔はリフト30分待ちはザラだった。このままでは終わらせられない。市が結論を出す前に、利用者の実績を上げて、展望を広げたい」と意欲的だ。


不振の公営スキー場をめぐる問題がふき出したのは白山だけではない。昨年度まで富山県営だった「らいちょうバレースキー場」。赤字続きで、県は廃止を決定。施設を富山市に無償譲渡することで合意した。県は累積債務約41億円処理。6億9500万円を施設整備費として負担する。市は、隣接の極楽坂スキー場を経営する三セク「大山観光開発」に施設を貸与。同社は今シーズンから両スキー場を合わせ「立山山麓(さんろく)スキー場」として経営する。複数のスキー場経営を一括して企業に任せることで、コスト削減を図るという考えは白山市の方向と同じだ。

◆白山市営スキー場の05年度実績
名称      収入  支出   収支   入場者数(90年度入場者)
金沢セイモア 187 243 ▼ 56  81165(157290)
中宮温泉    44 133 ▼ 89  35085(159000)
鳥越高原大日  92 104 ▼ 12  36300 (96000)
一里野温泉  213 228 ▼ 15  86129(334804)
白峰温泉    79 196 ▼117  27544(129400)
計      615 904 ▼289 266223(876494)
※決算数字は公債費関係を除いた営業的部分で、単位100万円。▼はマイナス
(毎日新聞)