スキーシーズンを迎え、県内のスキー場では相次いで営業を始めた。来月中旬にはほとんどのスキー場がオープンするが、スキー人口の減少に歯止めはかかっておらず、取り巻く環境は依然として厳しい。一方で、独自の取り組みで利用者を増加させているスキー場もある。県内のスキー場事情を探った。

◆独自活性化策、始める
◇ピーク時の4割に
県産業政策課によると、県内スキー場の利用客数は80年代後半から急増し、ピーク時の92年度(92年11月〜93年3月)には2120万人が訪れた。その後、スキー人口の減少が始まり、昨年度はピーク時の4割の850万人。長野経済研究所の飯塚徹・主任研究員は「全国的にスキー離れの歯止めがかからず、長野も同様に減少している」と分析する。

◇レジャーの多様化
スキー人口の減少について、同研究所は冬季レジャーの多様化とスキー場のホスピタリティーの低さを指摘する。法務省によると、日本人の海外旅行者数は92年の1179万人から05年は1・5倍の1740万人と増加。海外旅行や交通の便が良いテーマパークなどにレジャー対象が移り変わっているという。

県内スキー場は92年に110カ所あったが、利用客が急減した05年も依然として106カ所もある。供給過剰による利用者の分散で、スキー場は利益を上げられず、サービスも向上出来ない悪循環につながっている。県内スキー場の約3割が、公営もしくは第3セクターのスキー場で、経営状況がひっ迫しているという。白馬村観光農政課によると、宿泊施設数は90年度の837施設がピークで、昨年度は597施設に大幅に減少している。飯塚さんは「雪を確保すれば客が来る時代は終わった。県内スキー場は整理・統合をすべきだ」と強調する。

◇変化するスノービジネス
スキー人口の減少はスノービジネスに大きく影響を与えている。JR西日本は今年10月、大阪と黒姫高原などを結ぶスキー客向けの臨時寝台急行「シュプール号」の廃止を発表した。ピーク時の92年には35万人を運んでいたが、昨年はわずか1万人。同社広報部は「スキー人口の減少によって、スノービジネスは縮小せざるを得ない」と話す。JR東日本も00年に首都圏と白馬などを結ぶ臨時列車を廃止している。

一方、スノーマーケットの再興を図る動きもある。大手旅行代理店のJTB(東京都)は長野、新潟、群馬、山形、岩手の5県15スキー場の共通シーズン券を発売。「商品数や利用者の大きな落ち込みはないが、マーケットの活性化を図るため企画した」と期待を込めて話す。

◆人気キャラ採用/有名飲食店と提携/外国人誘客…
◇苦慮のあの手この手
スキー場も独自の活性化策を行っている。「ヘブンスそのはらスノーワールド」(阿智村)は01年から人気キャラクター「ハローキティ」をメーンキャラクターとして採用している。キティ関連の遊具を備えた子ども専用ゲレンデや限定グッズを用意。「ハローキティに会えるスキー場」として家族連れに人気があり、毎年10万人前後を集客している。

戸狩温泉スキー場(飯山市)は04年に全国展開する飲食店企業と提携し、レストランをリニューアル。地元産の食材を使うメニューを取り入れるなどした結果、レストランの売り上げは前年比の3倍、スキー場の利用者数は1・3倍となった。昨年は吉本興業によるお笑いライブをゲレンデで実施。今年はゲームメーカー「セガ」と提携する。戸狩観光協会の高橋研吾さん(27)は「毎年新しい話題を提供して喜んでもらいたい」と話す。

スキー場で全国的にも有名な白馬村は、外国人の誘客活動に力を入れる。白馬商工会と村観光局は01年から韓国の誘客活動を実施。昨年1年間の外国人宿泊数は3万5000泊にもなり、うち半数は韓国人の宿泊だという。昨年からはオーストラリアの誘客活動にも力を入れている。飯塚さんは「スキー場の独自の取り組みによって、入場者数を増やしているところもある。今後はスキー場の勝ち組・負け組の差がはっきりと見えてくるのではないか」と話している。

◇県内のスキー場の取り組み
◆白馬五竜スキー場(白馬村)→長野、岐阜、兵庫、島根、広島の5県7スキー場の共通シーズン券
◆志賀高原(山ノ内町)と白馬八方尾根スキー場(白馬村)→志賀高原エリアの21スキー場と白馬八方尾根スキー場の共通シーズン券
◆白馬山ろく(白馬村)→白馬村内のスキー場7カ所で、1日ごとに1スキー場で利用出来る2日間連続の共通リフト券
◆戸狩温泉スキー場(飯山市)→子どもに人気のあるゲーム「オシャレ魔女ラブandベリー」イベント
◆ヘブンスそのはらスノーワールド(阿智村)→人気キャラクター「ハローキティ」をメーンキャラクターとして採用
◆富士見パノラマリゾート(富士見町)→ゲレンデを巡回するボランティアスタッフの無料ワンポイントレッスン
◆佐久スキーガーデンパラダ(佐久市)→上信越道佐久平PAとエスカレーターで直結した全国唯一のハイウエーゲレンデ
(毎日新聞)