近畿でも珍しい高層湿原である比良山系の八雲ケ原湿原(大津市北比良)が復活の兆しをみせている。スキー場の閉鎖に伴い、埋め立てていた湿原の表層まで土砂が取り除かれると、地下水がにじみ出始めた。今後はコケ類などが自生するのを見守り、湿原の完全復元を目指す。

埋め立てられた土砂が取り除かれ、水がわき始めた八雲ケ原湿原(大津市北比良)

この湿原は、比良山系の八雲ケ原(標高約1000メートル)にあり、ミズゴケやシダなどに覆われ、ヤマドリゼンマイやヤチスギランが観察できるほか、約2万年前の花粉などが分解されずに残り、学術的にも貴重という。1962年のスキー場建設に伴い北側半分の約2500平方メートルが埋め立てられた。

スキー場を経営していた京阪電鉄の子会社「比良索道」が、2004年3月に廃業したため、同電鉄が自然公園法に基づき、リフトなど施設の撤去のほか、湿原復元にも取り組んでいる。

6月から始まった工事では、湿原の表層まで埋まった土砂を重機で取り除き、スゲなどの種子が残っているとみられる場所(1900平方メートル)は、種子を傷つけないよう手作業で慎重に作業を進めた。

今後、湿原の周囲にクヌギやツゲ、レンゲツツジなどを植栽しながら、スゲやコケ、
シダ類が自生するの待つという。湿原回復を担当する京阪園芸(本社・大阪府枚方市)は「コケ類などの自生は5年から10年はかかるが、完全に近い形で回復できるだろう」と話している。
(京都新聞)