マウントレースイスキー場

財政再建団体移行を決めた夕張市は28日、市議会財政再建問題調査特別委員会で、第三セクター2社に委託している観光関連31施設のうち29施設について、休止・売却を軸に整理する方針を明らかにした。観光事業は財政破たんの引き金となっただけに関係者は「避けがたい結果」と受け止めるが、施設は雇用確保の役目も担っており、今後深刻な失業問題が持ち上がるのは必至だ。
同委は同日、夕張市の財政再建団体、同市立総合病院の財政再建企業の国への指定申請を賛成多数で承認した。29日の本会議で正式に可決される見通し。

休止・売却の対象には黒字施設のマウントレースイスキー場など市の観光産業の主軸を担ってきた施設も含まれた。黒字施設の売却について同市は最後まで難色を示したが、国や道は「売れるものは売るべきだ」と受け付けず、三セク2社の清算も不可避だ。ホテルマウントレースイの三上博総支配人(51)は「会社(三セク)から何も知らされず、不安だらけ。客が来ているうちはみんなで頑張るしかない」と苦渋の表情を浮かべる。

三セク2社の従業員は正社員やパートなど計295人(8月16日現在)。公共職業安定所夕張出張所管内(1市3町)の8月の求人数は278人(うち101人はパート求人)にとどまり、有効求人倍率は0・45倍と全道平均(0・55倍)を大きく下回る。

ホテルマウントレースイに勤める大谷純子さん(29)は「このまま宙ぶらりんの状態が続くより、どうなるのか早く決めてほしい。解雇されれば市外で職を探すしかない」とうつむき、別の女性従業員(57)は「この年でクビにされたら働ける場所はない」と不安を募らせる。

道は20日、失業者対策を念頭に置いた専門部会を庁内に発足させたが、有効な手立てはないのが実情だ。三セク2社の井元宏文専務は「市の考え方を従業員に説明し、今後進むべき道について考えていく」と言葉少なに話し、三セクの社長でもある後藤健二市長は「人員については今後の検討課題」と述べるにとどまった。

◇返済額200億円超も−−来月にも再建の骨格
夕張市の財政再建計画の策定作業は今後本格化し、何年で何億円を返すかという骨格部分が10月中に固まる。観光事業会計などの取り扱いによっては返済額は200億円を超える可能性もある。

現行法上、夕張市の法律に基づく再建計画に含まれるのは一般会計と病院事業会計。観光事会計や公共下水道事業会計などは自主再建計画の策定が求められる。一般会計と病院事業会計の実質単年度赤字額は各40億6000万円と39億4000万円で計80億円。夕張市の財政規模から年間返済額は9億〜10億円で、通常なら10年前後で完済できる。

しかし、ネックは144億円の赤字がある観光事業会計だ。施設の大半が売却・休止となり、観光事業会計を閉鎖すると一般会計で継承することになり、返済額は200億円以上に膨らむ。存続させても、一般会計から毎年数億円ずつ繰り出す必要が生じる。施設の整理により三セク2社が清算(法的整理)されれば、市の損失補償額分(約25億円)も新たな負担となる。

高橋知事は「場合によっては制度的な要請を国にしなければならない」と言うが、国は債務免除規定のない現行法での計画策定を求めている。

◆観光施設の見直しの方向性◆
【売却】マウントレースイスキー場▽ホテルマウントレースイ▽ホテルシューパロ
【休止】炭鉱生活館▽化石のいろいろ展示館▽ロボット館▽世界の動物館▽SL館
【休止か売却】水上レストラン▽石炭の歴史村内の飲食・売店▽駐車場▽ユーパロの湯▽パークゴルフ場▽めろん城▽紅葉山工場▽黄色いハンカチ想い出ひろば
【委託か休止】「北の零年」希望の杜
【公共性を考慮し再建計画で休止も検討】石炭の歴史村公園▽ローズガーデン▽グリーン大劇場▽キャンプ場▽歴史村公園便益施設(トイレ等)▽郷愁の丘ミュージアム公園▽丁未風致公園▽丁未風致公園「風美丁」▽めろん城公園▽生活歴史館▽シネマのバラード▽センターハウス
【公益性を考慮し再建計画で検討】石炭博物館▽夕張鹿鳴館
(毎日新聞)