◇「記憶失い、覚えていない」検察側示す
◇「罪の意識あるなら、きちんと説明してほしい」

米原市甲津原の「奥伊吹スキー場」ゲレンデで今年1月、漫然と高速度で滑走し、スキーをしていた親子を死傷させたとして、重過失致死傷の罪に問われた会社員、坂野賢被告(30)=津市=の初公判が14日、大津地裁長浜支部であり、坂野被告は起訴事実を認めた。

起訴状によると、坂野被告は1月21日午後1時50分ごろ、スキー場でスノーボードを滑走中、ゲレンデが氷結していた上、多数の客が不規則な動きで群がっており、徐行するなど衝突を防ぐ注意義務があったのに怠り、時速約50キロで滑走。スキーで並んで歩いていた岐阜県関ケ原町の団体職員、藤田耕司さん(39)と長男一輝さん(当時7歳)に衝突し、一輝さんを頸(けい)髄損傷などで死亡、耕司さんにも3週間のけがをさせた。

検察側は冒頭陳述などで、坂野被告が事故の記憶を失っており、状況をほとんど覚えていないと供述していることを明らかにした。

「どうして事故が起こったのか、本当は何があったのかを知りたい」。耕司さんは傍聴席で一輝さんの遺影を抱え、険しい表情で公判を見つめた。耕司さんによると、事故後から最近まで、坂野被告は毎週、耕司さん宅を訪れ一輝さんに手を合わせていたが、事故当時のことは一度も話を聞けていないという。閉廷後、耕司さんは「罪の意識があるなら、自らきちんと説明してほしい」と訴えた。耕司さんの妻は事故のショックで体調を崩し、被告との示談交渉も進んでいないという。
(毎日新聞)