西武鉄道グループによるリゾート施設のリストラが本格化してきた。29日までに北海道・東北を中心に全国で約40カ所のホテル・レジャー施設の売却方針を決定。地元自治体の間では戸惑いもみられるが、売却物件はさらにふくらむ見通しだ。今後は収益性の高い施設に経営資源を集中させ、西武グループの喫緊の課題である経営再建を急ぐ考えだ。

「今、スタート台に立ったところ。選別と集中を進め、スピード感をもって対応していく」。ホテル・レジャー施設のリストラと今後の展開について、西武ホールディングス(HD)の後藤高志社長は28日の株主総会できっぱりと語った。

西武鉄道の有価証券報告書事件などの不祥事に揺れた西武グループは今春、抜本的な組織再編を実施し、旧コクドと旧プリンスホテルを合併させた。とくに「長年の放漫経営で経営不振に陥っている」(幹部)ホテル・レジャー事業をいかに立て直すかがグループ再建のカギを握っている。

これまでに新プリンスホテルが全国に展開する約150のホテル・レジャー施設のうち、ニセコ東山プリンスホテル(北海道)や湯沢中里スキー場(新潟県)など約40施設のリストラを決定。すでに地元の北海道や田沢湖プリンスホテルなどを抱える秋田県に対して売却の意向を伝えた。

後藤社長は「事業継続が厳しいところはできる限りリストラを前倒しする」としており、売却施設はさらに増える可能性もある。18年度中にレジャー施設のリストラをほぼ終えたい考えだ。

一方、自治体の間には困惑が広がる。とくに売却施設が10カ所以上にのぼりそうな
北海道の高橋はるみ知事は「地元にとって大きなダメージだ」と悲鳴をあげる。他の自治体の首長も戸惑いを隠さず、各施設の従業員にも動揺がみられる。

これに対し西武側は(1)営業の継続(2)雇用確保を原則に掲げ、「地域経済への影響は十分考える」(後藤社長)と釈明する。だが、こうしたホテルやレジャー施設の多くは老朽化も進んでおり、簡単に再生できないとの見方も多い。過剰ともいえるリゾートの積極展開を進めた堤義明元コクド会長が地方に残した「傷跡」は西武側の想像以上に深いものがある。

28日の総会でも「地方切り捨て」を心配する声が株主からあった。

西武グループはホテル・レジャー施設のリストラを加速させることでグループ再建を推し進めたい考えだが、撤退する地域との関係改善も含め信頼回復という課題も重くのしかかりそうだ。
(産経新聞)