男子の中井も上位入賞を期待した山岡だが、結果は10位。「打ちのめされました」という言葉の意味は重い【(C)Getty Images/AFLO】分かりにくい採点基準でもすきのない米国勢

イタリア現地時間12日と13日に行われたスノーボード・ハーフパイプ。日本勢のメダル獲得が期待されていたが、男女ともに入賞すらできず、世界のレベルの高さに屈した。現地で見ているとどうしても分かりにくいのが、その採点基準。どんなに観客を沸かせるエアを繰り出したとしても、想像を下回る採点が表示されることがしばしば。正直、VTRを見直してやっと減点の理由が分かるのだが、観客は納得できない様子だ。しかし、それでも分かりやすかったのは、男女ともに金銀を独占した米国勢の演技だった。

エアの高さと難易度のあるトリック、そして必要な完成度。「米国はレベルが違う。技のレベルを1つ落としても予選突破くらい全然いける」と応援に駆けつけていた男子代表の中井孝治が語ったように、米国勢は会場がうめくような高いエアをいとも簡単に連続で繰り出した。スピンは流れるように美しく、独特のスタイルでグラブを入れ、スムーズに着地する。リスクをかけずともポイントをたたき出し、そして時に魅せる。

日本、認めざるを得ない完敗

女子予選の1本目が終わったとき、中井は「今大会のジャッジは辛い。1080(テンエイティー: 3回転)を狙うより、少しでも完成度の高い720(セブントゥエンティー:2回転)の方がいい。ただ、女子の方が技の難易度の差が少ないから、山岡(聡子)さんなら決勝に進めば3位とか行けると思う」と話した。しかし、その山岡の結果は10位。惨敗だった。山岡は、滑り自体が失敗だったことを認めているが「(今の自分の力での)完ぺきな滑りをやったとしても、メダルには届いていないと思う。打ちのめされました」と、世界トップとの差を認めた。

予選1回目で6位以内に入り、決勝へと進んだ中島志保にはメダルの可能性も感じられたが、ポイントが伸びず9位どまり。「悔いの残らない滑りはできたけれど、完敗だったから悔しい」と語った直後、涙が止まらなくなった。「トリノ五輪が終わったら、のんびりしようと思ったけど、もうできない」と、4年後のバンクーバー大会へ向けてレベルアップを誓う。
立ちはだかる、大きな環境の差

では、どうすれば米国に追いつけるのか。昨日の男子予選敗退後、綿谷コーチは「練習しかない」と語った。中島も「練習あるのみです」と応えた。クールで格好いいスポーツというイメージのスノーボードだが、選手たちの口から出てくる言葉は、練習、練習、練習……。

伏見知何子はもう少し具体的に「練習する時間が欲しい。大会に出てばかりなので……」と漏らした。しかし、練習ばかりしていては食べていけない。プロとして大会に出て成績を残し、スポンサーを獲得しなければならない。とはいえ、成績を残すためには、練習を重ねなくてはならない。心の中には葛藤(かっとう)があることだろう。強い米国は、X-GAMESに代表されるようにスノーボードの人気が高く、スポーツビジネスとしても十分に認知されている環境がある。まずは、この環境の差を埋めることが先決か。その意味でも、多くの人にアピールするチャンスだったトリノ五輪。伏見の試合後の第一声は「すみません」だった。その言葉は、応援してくれた家族やファンのためだけでなく、スノーボード競技者全員に向けられた言葉のようにも聞こえた。

(スポーツナビ 岩本義和)