◇夏には浴衣で登る温泉客も
安達太良山に山スキーに出掛けた男女4人の遭難は、リーダーの郡山市、会社役員、福山貴司さん(56)が登山歴30年のベテランだったにもかかわらず起きた。安達太良山では04年2月にも遭難が起きている。「夏にはふもとの温泉客が浴衣でも登る」と言われるほど親しまれている山だが、地元山岳関係者は「冬場はちょっとした判断ミスが大きな事故につながりかねない」と冬山の恐ろしさに警鐘を鳴らしている。

■人気の山
ゴンドラの終点から山頂までは1・5キロ程度。山岳愛好家の間では「比較的簡単に2000メートル級の山々の達成感が得られる」とされる。中高年にも人気が高い山だが、12日に地上から救助活動を行った「あだたら山の会」の小林正彦さん(61)は「冬場はベテランでも注意が必要」と話す。

「山全体が円すい形をしており、山肌の形状も、目印になりにくい。吹雪ですべてが真っ白に見える『ホワイトアウト』状態になれば、方向感覚を見失いやすい」と指摘する。

■想定外の場所
4人が発見されたのは、郡山市熱海町の石筵(いしむしろ)川の上流付近。12日午後1時ごろ4人のうちの1人が携帯電話で友人に遭難後初めて無事を伝えた際には、「どこにいるか全く分からない」と伝えてきた。しかし、その後の電話のやりとりから、勢至平から5キロ以上も南の安達太良山頂南側にいることが分かった。

捜索隊は勢至平など安達太良山の北東側を中心に捜索しており、想定外の場所での発見だった。

■2次遭難の恐れも
ふもとのスキー場と、ゴンドラ降り場には登山日程とコースを書き込む「登山者カード」を投かんするポストが設置してあるが、4人は提出していなかった。また、二本松署にも未提出だった。

小林さんによると、捜索活動を行った12日の山頂付近は強風が吹き荒れ、気温は氷点下10度以下。4人の登山コースが特定されないため、7〜8人ずつ3班に分かれ、4〜5メートル間隔で横列に広がって捜索した。2次遭難の恐れもあった。

同署は「最低でも登山者カードは出してほしかった」と指摘する。
(毎日新聞)