男子ハーフパイプ予選1回目、納得いかない滑りに頭を抱える国母和宏■ジャッジの変更によりハイレベルの争いに

アメリカ、フィンランド、日本のメダル争いと言われたスノーボードの男子ハーフパイプ。しかしアメリカ4人、フィンランド3人が決勝に進んだ中、日本は4人とも予選落ちという残念な結果に終わり、“天才”ショーン・ホワイトをはじめとするアメリカ勢の強さを、あらためて見せつけられることになった。

ジャッジシステムの変更により、大技連発のレベルの高い戦いが予想された今大会。ソルトレークシティー五輪では、標準技(360度未満の回転の技)だけ見るジャッジがいたため、標準技と回転技をバランスよく行なうことが必要だった。しかし今大会ではジャッジは5人全員総合で判断することになり、標準技は1回以上すればいいため、5〜6回のエアのほとんどが難度の高い回転系の技で競われることになった。なかでも横に3回転する1080を2回連続して行なう1080のコンビネーションを完成度高く決めることがメダルへの近道と予想された。

日本選手で唯一1080のコンビネーションを見せたのが成田童夢(キスマーク)。予選1本目は本人も会心の出来だったようだが、上体の先行動作で強引に回し込むスタイルは途中スピンが途切れた感じになり、グラブ(ボードを手でつかむこと)もあまり入れられなかったことから、31.5点と伸び悩んだ。また、日本選手の中で最もメダル有望と言われた国母和宏(北海道・登別大谷高)は1本目、720のコンビネーションからフロントサイド900、バックサイド900と続ける900のコンビネーションをメイクしたが、フロントの900の着地がパイプの中に入り過ぎ、最後に入れる予定だった標準技を入れることができず、大きく減点された。

この日、最も惜しかったのは村上史行(クルーズ)だろう。2本目、彼の持ち味である高いエアを連発。キャブ1080もきれいにメイクしたが、最後の900の着地で手を付いてしまい、決勝進出を果たせなかった。中井孝治(アメリカン)は今季、かかとのケガのために満足に滑ることができていなかったが、2本とも高さのあるマックツイストをはじめとする得意技を決めて、うまくまとめてきた。しかし、技の難度の面でいまひとつ及ばなかった。

男子ハーフパイプで圧倒的な強さを見せつけ、金メダルに輝いたショーン・ホワイト■ホワイトは決勝で完璧な演技

アメリカの国内選考会で5戦全勝、優勝候補ナンバーワンだったショーン・ホワイトは予選1本目、バックサイド900で珍しく着地をミスしたが、2本目で540に回転数を落とす慎重さを見せて決勝進出。そして決勝1本目、標準技からマックツイスト、1080のコンビネーション、そして900のコンビネーションという総回転数で実に4500度以上という高難度の技を披露、グラブもしっかり入った完璧な演技で46.8という高得点をたたき出す。

2本目は最後のスタートとなったホワイトだが、前に滑った誰も彼を抜くことができずに優勝が決定。勝負に関係ないウイニングランを優雅に滑り終えた後、2大会連続で銀メダルとなった同僚のダニエル・カスと抱き合って喜びを分かち合った。スノーボード最大のブランド、バートンのキッズライダーとして子どものころから活躍してきたホワイトはこの日、“世紀に一人”という天才ぶりを世界中の人々に認知させた。
(飯田達哉)