予選2本目でフィニッシュと同時に頭を抱え込んでしまった成田(撮影・鈴木豊)メダルを期待されたスノーボード男子ハーフパイプ(HP)陣が惨敗した。2回の予選で国母和宏(17)成田童夢(20)村上史行(20)がエアでミスを連発。2大会連続出場の中井孝治(21)も得点が伸びず、4人とも予選落ちした。米国、フィンランド勢が予選上位を占めた中で、3強の一角といわれた日本は中井の14位が最高で、村上22位、国母23位、成田35位と全く歯が立たなかった。ショーン・ホワイト(米国)が評判通りの実力を披露して金メダルを獲得した。13日には女子の同種目が行われる。

日本勢が連鎖反応のようにミスを連発した。決勝進出(12人)の残り6人を決める予選2回目。国母、村上がエアの着地で失敗した。続く成田は緊張をかき消そうと、絶叫してスタート。しかし、同じように1080(3回転)の着地で体勢を崩し、14・7点しかもらえなかった。指導方法の対立で父から独立し、狙っていた今井メロとの兄妹メダルも消えた。うつ伏せに倒れ込み、雪面をたたいて悔しがった。

予選1回目9位で最後のとりでとなった最年長21歳の中井も得点が伸びず、4人全員が決勝に進めなかった。全日本スキー連盟の佐々木スノーボード部長は 9日の公式会見で「最強の布陣を連れてきた」と豪語していた。W杯の好成績で米国、フィンランドに続く実力とみられていた日本だが、まさかの惨敗。同部長は「緊張があったんでしょ。国母、成田は2回とも失敗するような選手じゃない。一発勝負の怖さ。外国勢も普段のW杯とは違う」とショックを隠せなかった。

日本選手は精神面の弱さがよく指摘されるが、それだけではない。圧倒的な強さを見せつけた米国をはじめ、外国勢との実力差を把握できていなかった。プロ選手の多いハーフパイプは米国勢が主戦場にする北米GPシリーズなどに強豪が集まり、日本が重視しているW杯にはあまり出てこない。W杯も大会数が少なく、欧州勢も賞金レースに集まる。さらに、五輪でメダルの名誉を得ればプロとして肩書が増えるため、外国勢は気合十分。対して日本は、国母が今季W杯で欧州勢を抑えて2勝したことで、楽観視しすぎた。

また、新興競技のスノーボードは、普段プロ活動している選手に練習法を任せることが多く、組織的に若手の発掘、強化育成が難しい状況だ。「若い選手がうまくなる段階で、海外の試合にどんどん出さないとダメ」と指摘する中井も、今後2年間はプロ活動に専念する。生活が保証されない日本代表としての活動は、選手にとってあまり魅力ではない。

エアの高さなど強豪国と力の差を痛感させられた。13日の女子、そして日本選手団全体を勢いづけるはずが、逆に不安なムードを呼んでしまった。予選後に号泣した成田は「明日、メロの応援に来ます」と、女子に期待するしかなかった。
(日刊スポーツ)