◆第3日の見どころ
トリノ冬季五輪は大会第3日の12日、メダル有力候補の道産子が相次いで登場する。スノーボード・男子ハーフパイプの国母和宏(17)=石狩市出身、登別大谷高▽中井孝治(21)=後志管内倶知安町出身、アメリカンスポーツ=はメダル獲得の可能性を秘める。スキージャンプ・ノーマルヒルの岡部孝信(35)=上川管内下川町出身、雪印=らもお家芸復活にかける。スピードスケート女子三千メートルでは田畑真紀(31)=胆振管内鵡川町出身、ダイチ=らが入賞を狙う。

◇国母、自信
トレードマークだった長髪を切り、五輪へ向けて心機一転を図った国母は米国での直前合宿の後、選手村入りした。今季ワールドカップ(W杯)2勝と好調で、金メダル最有力候補のショーン・ホワイト(米国)から「ライバル」と名指しされるなど、有力選手からマークされる存在だ。

公式練習は7日から始まった。五輪競技会場の「バルドネッキア」はW杯コースより20〜30メートル長いのが特徴。全長150メートルに及び、多くのエアをこなす体力が必要となる。だが、国母は「自分に合っているコース。ベストを尽くしたい」と自信を示す。158センチ、51キロと身軽な体を生かした高いエアを連発できれば、目標は近づく。

一方、前回ソルトレークシティー大会から連続出場となる中井は、前回同種目で5位と、日本人初入賞を果たしている。

今季は右かかとの故障などで思うような成績を残せていないが、ようやく故障も癒えた。トリノ入りした後は、「プレッシャーは感じていない。出るからには前回よりいい成績を残したい」と、強気の言葉が戻っている。

もう1人の道産子、村上史行(20)=札幌市出身、クルーズ=もW杯表彰台の実績があり、上位進出が可能だ。村上は「結構いい感じになってきた。あとはルーティン(演技構成)を完ぺきにするだけ」と語った。

◇岡部、高揚
復活を期す日本ジャンプ界のエース、岡部は8日夜にトリノに着いた。今季W杯個人総合11位で、予選が免除され、13日未明のノーマルヒル決勝に進む。「いよいよ五輪という感じ」と気持ちを高ぶらせた。

2日連続で表彰台に立った1月下旬のW杯札幌大会以降も好調さを維持している。五輪前最後の試合となったビリンゲン(ドイツ)でのW杯団体戦は5位だったが、岡部は139・5メートル、134・5メートルと2本ともK点超えの好ジャンプだった。

団体金メダルに貢献した98年長野五輪後はどん底を味わった。スキー板の長さが身長で決まるようにルールが変更されたため、165センチの岡部は低迷し、前回は代表落ちの辛酸をなめた。「100%、力を出せるようにするだけ」。8年ぶりの五輪で岡部はスキー人生の集大成に挑む。

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■応援席
◆国母和宏選手へ
◇完ぺき演技でメダル獲得だ−−登別大谷高・スノーボード部、宮武和弘監督(50)
登別大谷高に全国初のスノーボード部が出来たのは96年。これまで3人を世界転戦のワールドカップ(W杯)に送り出したが、五輪出場第1号となったのが国母選手。18人の部員のうち、17人はアルペン選手で、国母選手が唯一のハーフパイプ専門の選手だ。

試合のため年間200日以上は海外や国内を転戦し、学校での練習は夏場が中心となる。寮生活をしながら、早朝にランニングした後、筋力トレーニングなどで汗を流す。学校から数百メートル先の太平洋岸にもよく出かけ、サーフィンをしている。バランス感覚を養うのが目的だ。

「国母は1人で黙々と練習に励んでいる。僕らは見守っているだけです」
国母選手と最後に会ったのは昨年末に同校であった壮行会。「高い技を決めるために、じっくりトレーニングを積みたい」と五輪に照準を合わせ、静かに闘志を燃やしていた。「完ぺきな演技が出来たら必ずメダルに手が届く」。技術では世界屈指との呼び声が高く、安定感のある大技を確実に決めることを信じている。【吉田競】

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■メッセージ
◇倶知安の名を世界に−−スノーボード・男子ハーフパイプの中井孝治選手(21)の出身地でスノーボードを指導する日本スノーボード協会A級インストラクター、矢野利宜さん(33)=後志管内倶知安町

スノーボード競技はできるだけ高く飛んで回転数を多くすることが大切。ボードをつかむ時のスタイルも評価される。中井選手にはパワーを全開させてほしい。メダル獲得は難しいかもしれないが、やるからにはここ一番で頑張ってメダルを狙い、倶知安の名を世界にアピールしてほしい。

◇失敗恐れず、思い切り−−スノーボード・男子ハープパイプの村上史行選手(20)を指導した札幌新陽高校スノーボード部の川端裕泰監督(39)

中学のころから競技をしている村上選手を知っているが、思い切りの良さがあり、エアも高い。(前回代表だった)兄の大輔選手は緊張しがちだったけれど、村上選手は大きな大会でも気後れせず、ひょうひょうとしたタイプだった。雰囲気にのまれなければ最高の技を出せる。失敗を恐れず思い切って飛べ。

(毎日新聞)