兄妹で連日の表彰台だ! メダルへの期待種目、スノーボード・ハーフパイプ(HP)男子・成田童夢(20)=キスマーク=が12日、出陣する。13日の予選、決勝に臨む妹・今井メロ(18)=ロシニョール・ディナスターク=の先陣を切り、まずは兄がメダルをゲット。妹に最高のエールを送り、日本五輪史上初となる兄妹同時表彰台を実現させる。

思いのすべてをぶつけるときが、やってきた。本番会場のバルドネッキアでの最終調整を終えると、成田の興奮はすでに最高潮。20歳の成田らしい言い回しでメダル奪取を宣言だ。

「開幕2日目。日本代表としてデカイ花火を打ち上げて、後に控える選手たちにつなげていきたい」

98年長野五輪。妹・メロとともにHPの前走者として参加した。あれから8年。兄妹でずっと夢見ていた大舞台が、もうすぐそこにある。

2人は父・隆史氏(56)が監督を務める「夢くらぶ」の看板選手だった。水上スキー・ウエークボードの国際審判の資格を持つ父から、それぞれ「夢」の文字を入れた名前を授けられ、「家庭愛」を合言葉にスノーボードに汗を流し、一流のアスリートに成長した。「成田兄妹」として、メディアにはいつもいっしょに取り上げられた。

ところが、五輪イヤーを前に家庭騒動が起こった。指導法などをめぐり、父と意見が対立した兄が、6月に大阪市内の家を飛び出す。メロも用具スポンサーとの契約交渉が難航し、新たなスポンサーが見つからず、一時は内定取り消し騒ぎになり、7月に“家出”。実母・今井多美江さん(47)のもとに身を寄せた。「夢露(めろ)」の名前を捨て、メロに変えた。だが、それぞれが独立し、名字が変わっても、2人の絆はこれまで以上に強いものになった。

ワールドカップ開幕直前の9月、山梨県内で行われた代表合宿。すでに五輪内定を得ていたメロは、代表の切符を狙う兄に必死のアドバイスを送っていた。「全然、高さが足りないよ」「その回転じゃダメだよ」。そこに仲のいい兄妹の姿はない。兄とともにトリノに行きたい、そんな思いが厳しい口調になった。

開会式には2人そろって参加。童夢は日の丸の小旗を振りながら、興奮で顔を赤らめた。最高の理解者もやってきた。母・多美江さんが11日に現地入り。独立とともに指導者を失っただけに、母の姿を見ることだけでも元気百倍だ。

史上初の兄妹同時表彰台を目指して、まずは童夢が出陣。そして、13日に予選、決勝に挑むメロは「自分のベストを尽くし楽しく元気いっぱいに滑ります。最後に笑顔で終われるように頑張ります」。2人がともに表彰台に立ったとき、波乱にとんだ兄妹のドラマが完結する。
(サンケイスポーツ)