決勝2回目、豪快なエアを決める中井<FISキスマーク杯真駒内大会・第1戦>◇14日◇札幌・真駒内スキー場◇男女ハーフパイプ

けがから復活へ、光明が差した。トリノ五輪スノーボード・ハーフパイプ(HP)代表の中井孝治(21=アメリカン)が、36・5点で5位に入った。右かかとの負傷から復帰第1戦。約1カ月間、実戦から遠ざかっていたとは思えない高さのある演技を披露した。負傷による離脱中は故郷・倶知安で英気を養い、ビデオによるイメージトレーニングも欠かさなかった。雪辱を期す2度目の五輪へ、しっかりと照準を定めた。

誰よりも高く、高く。中井は気持ちを前面に押し出して演技した。決勝1回目に36・5点で4位につけると、2回目はさらに高さを求めた。1度目のエア「マックツイスト」、2度目の「ロデオ720」は完ぺき。だが3度目のエア「720」の着地で転倒。前日(13日)には「優勝して良い気分でトリノ五輪に出たい」と言っていただけに悔しさから、こぶしを地面にたたきつけた。

昨年11月、エアの着地で右かかとを強く打った。「ブラックヒール」と呼ばれるけがで離脱。昨年12月11日にウィスラー(カナダ)で行われたW杯に予選のみ出場したが、実戦の場からは約1カ月遠ざかっていた。パイプの練習を再開したのは、今大会の4日前。右かかとの腫れは今も残る。「一時期は耐えられなかったが、今は痛み止めがなくても耐えられる」。トリノへ向け、休んでいる暇はない。

離脱中に3度ほど、故郷・倶知安へ帰った。昔からの顔なじみの選手らと、生まれてすぐにスキーを履いた「旭ケ丘スキー場」のパウダースノーを滑った。家ではスノーボードの新作ビデオを約10本見た。おかげでエアのイメージは狂わなかった。年末年始には父直樹さん(54)から「中途半端にやるくらいなら思い切りやって転倒してもいい」と激励された。

中井の実戦復帰は、全日本にとっても朗報だ。綿谷直樹チーフコーチ(35)は「けがから復帰できるか心配していた中で良い結果を残してくれた」と喜んだ。目標は前回ソルトレークシティー五輪の5位より上だが、一方で「立って負けるくらいなら思い切り飛んで、転んだ方がマシ」と言い切る。今日15日には「1080」への挑戦も示唆。すべては五輪で勝つために−。中井が再び羽ばたきはじめた。
(日刊スポーツ)