昨年末のW杯スノーボード・ハーフパイプ(HP)で3戦連続のアベックVを果たし、トリノ五輪へ絶好のスタートを切った日本代表に「見えない敵」が立ちはだかっている。

国際スキー連盟(FIS)の大会にはほとんど姿を現さず、その存在は秘密のベールにつつまれている米国だ。9日に今年初戦となるW杯クライシュベルク(オーストリア)大会に挑む日本勢も警戒心を強めている。

世間が日本をメダル候補と騒ぐほど不安は募る。今、日本HP陣の頭を悩ませているのが米国だ。W杯クライシュベルク大会のため欧州入りした全日本スキー連盟(SAJ)の綿谷直樹ヘッドコーチは「米国が最も強力なライバルなのは間違いない」と警戒する。

日本をほんろうさせる要因は、米国の一線級がFISの舞台に上がってこないことだ。昨年12月のW杯ウィスラー大会(カナダ)では男子7人、女子2人がエントリーしたが、全員予選落ちした。トリノ五輪が内定している中井孝治はそのメンバーを「野球に例えるなら3軍」と評した。実は、トップ選手は米国にいた。

ふだんはプロ選手として、優勝すれば10万〜20万ドルを獲得できるXゲームなどの賞金レースでしのぎを削っている。五輪はハクをつける絶好の場になるが、米国の選考は日本と違ってW杯の成績はほとんど関係ない。国内大会だけが対象だ。昨年12月の2戦と今年21日までの3戦、計5戦の上位2大会の平均得点で男女各3人を選出する。そのレベルはW杯で優勝するより、米国代表になるほうが難しいといわれている。

秘密のベールに包まれた米国で日本の難敵となりそうなのが、男子のショーン・ホワイトだ。幼少から天才少年と騒がれ、19歳にして富と名声の両方を手に入れた。個人スポンサーには、プレイステーションなどが名を連ね、自家用ジェット機で各国を移動。豪邸を購入し、高級車も所有している。

ホワイトは昨年の代表選考会で2連勝し、トリノ行きを確実にした。その1戦では、W杯で日本人はまだ成功していない2度の1080度(3回転)を決め、47・1点の高得点をマークした。成田童夢が優勝した昨年のウィスラー大会の得点は42点。実力も折り紙付きだ。すでに自国では金メダル候補に挙げられ「みんな期待しているの?知らなかった。すべてがプレッシャーなのは承知している」と話している。

さらにW杯には3戦しか出場していない18歳のアギーレら、他の若手の台頭も激しく、ソルトレークシティー五輪で表彰台を独占したメンバーが当落線上にいるほどだ。女子も日本勢が出場していない昨年9月のW杯で連勝した18歳のハンナ・テターが代表確実。誰が金メダルを獲得してもおかしくないほど、戦力は充実しており、日本勢にとっては脅威だ。
(日刊スポーツ)