【リリース・医薬品】雪の上の紫外線、反射により「目」に大きく影響
〜雪面での紫外線被曝量は、アスファルト面と比べ、
眼部で約17%、下眼瞼では約39%多い(J&Jと金沢医科大学共同調査)〜

これからの季節、スキーやスノーボードなどウィンタースポーツが旬となります。一般的に冬は紫外線対策がおろそかになりがちですが、雪面では、アスファルトや土面などと比べると紫外線の反射量が多くなるため、衣服に覆われていない目は、肌よりも多くの紫外線を被曝してしまいます。

「いつでもどこでも全ての人に健康な視力をお届けすること」を目指す、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー(本社:東京都千代田区、代表取締役:大瀧守彦)では、雪面での目への紫外線被曝の実態を明らかにするために、金沢医科大学と共同で実施した雪面反射による目の紫外線被曝量について調査結果を発表しました。(調査結果の詳細は次頁以降)今回の調査では、雪の上での紫外線被曝量は、アスファルト面よりも眼部で約17%、下眼瞼では約39%も多いということが明らかになりました。

これは特に「目」に関しては、上からの直射日光だけでなく下からの反射による紫外線の影響も受けやすいことを意味します。

<紫外線が目に与える影響とは −金沢医科大学の「翼状片」に関する研究―>
WHO(国際保健機関)の世界紫外線プロジェクト・チーム「Intersun」は2002年7月に、紫外線の浴びすぎが免疫機能の低下につながり、また白内障や雪眼炎(ゆきめ)の原因になるとし、過度な日光浴を避けるよう呼びかけています。紫外線を長時間被曝することで、白内障をはじめ、角膜の上皮細胞が壊死を起こした状態である「雪眼炎(ゆきめ)」や結膜の経膜組織が角膜の上に延びる「翼状片」などの疾病に陥る可能性もあります。

金沢医科大学が昨年までに実施した石川県(門前町)、シンガポール、アイスランドにおける「翼状片有所見率」調査では、50歳以上において、石川県では7.2%、シンガポール11.2%であったのに対し、アイスランドでは0.2%に留まりました。眼部への紫外線量を比較すると、アイスランドは、他の地域よりも約9分の1程度の被曝量であることから、紫外線の影響が翼状片発症の一つの因子となっていると考えられます。

また、石川県とシンガポールの比較において、翼状片有所見率は眼部紫外線被曝量(Cumulative ocular UV ex−posure:COUV)の増加とともに上昇しました。特に、被曝量が400unit以上となると、急激に上昇したことから、ある一定以上の紫外線を眼部に浴びつづけると、翼状片発症リスクはきわめて高くなるということが考えられます。

<雪面の紫外線に関する調査実施の背景>
当社が昨年、全国の男女1,000名を対象に実施した調査によると、5月から8月までは60%以上が紫外線を「気になる」と回答したものの、11月から2月では、5%以下に激減しました。つまり、夏には多くの方が気にかける紫外線も、冬になると意識は薄れてしまう傾向があります。しかし、当社がスキーヤー・スノーボーダーを対象に実施した調査によると、スキー場において目に何らかの異常を感じたことのある方は38.8%に及びます。このように、紫外線の悪影響は、夏だけではなく確実に冬にも存在します。今回の調査では、冬の紫外線の特徴がより具体的に明らかとなりました。

<調査概要>
今回の調査は2005年3月に富山県のスキー場で行われました。マネキンの顔面6箇所(頭頂部、額、上眼瞼、眼部、下眼瞼)に特殊な紫外線測定装置をつけ、雪面とアスファルト面で比較して紫外線の曝露量を測定しています。マネキンの設置については日本人女性の平均的な身長にあわせ、顔の向きは人間の最も自然体な角度(13〜15度下向き)にあわせ、マイナス13度としました。また方位は南向きに固定しました。

調査期間:2005年3月20〜21日
場所:富山県南砺市福光町アローザ村
調査機器:紫外線測定装置
(微小半導体UVセンサー/パーソナルコンピュータ/マネキン)

<調査結果>
■雪上における累積紫外線量(午前9時から午後2時まで)は、眼部ではアスファルト面より約2割増、下眼瞼では約4割増

今回の調査では、1日のうちで紫外線が多いとされる午前9時から午後2時の間に継続して紫外線量を測定しています(実際には12秒間に1回の割合で紫外線強度が計測され、その累積値を紫外線曝露量として使用)。通常よく行われる瞬間の強度値計測は、天候の急変(雲の動きなど)に左右されることが多いのですが、今回は継続して計測したことにより、測定精度の向上に加え、測定時間内の紫外線被曝の変動も知ることが可能になりました。

今回、雪上とアスファルト面を比較して紫外線被曝量を調査するために、アスファルト面と雪面における頭頂部の紫外線量を基準として、眼部、顔面各部の累積紫外線量を被曝量の増減率として比較しました。額や上眼瞼での紫外線量は、アスファルト面と雪面では変わりありませんが、眼部、下眼瞼と下方にいくにつれて被曝量が増しています。眼部ではアスファルト面に比べ雪面からの紫外線量が約17%多く、頭頂部と同程度の紫外線被曝量です。また、下眼瞼では雪面での反射のために約39%も紫外線被曝量が増え、頭頂部より13%も多く被曝している結果となりました。

共同調査に関して、金沢医科大学感覚機能病態学(眼科学)教授の佐々木洋先生は、今回の研究結果を受け、以下のようにコメントしています。

強度の紫外線の被曝により急性に生じる「雪眼炎」と慢性の被曝が原因のひとつである、「翼状片」は紫外線誘発眼疾患として知っておくべき病気です。「白内障」の中にも長期の被曝によりその発症リスクが増加するものがあると言われています。

今回のマネキンモデルによる調査では、冬季の雪面上での眼部の紫外線被曝が多いことが明らかになりました。今回はマネキンでの計測でしたが、実際の人体では、1.

雪面上では太陽光に背を向けていても紫外線の反射と散乱が非常に強い、2. 太陽が前方にない場合はまぶしさの自覚が少なく目を細めることが少ないため眼表面への被曝量は予想以上に多い、3. 下方からの紫外線は帽子や睫毛でカットできないなどの要因から、今回の結果以上に眼部の紫外線被曝量は多い可能性も高いといえます。

眼部への紫外線対策としては、適切な眼鏡やサングラス、帽子などの装用が重要ですが、今後は紫外線カットコンタクトレンズの装用も期待できる方法のひとつです。コンタクトレンズは角膜全体をカバーするため眼鏡のように顔面との隙間から曝露がない点で非常に有利です。

眼鏡やサングラスと併用することで「雪眼炎」対策には非常に有効であると考えます。さらに、紫外線カットコンタクトレンズは角膜周囲の結膜も一部カバーするので「翼状片」の予防にも有効である可能性があり、近い将来、疫学および研究によりその有効性を明らかにしていきます。

今後、眼部への紫外線被曝に関しては、顔面の骨格、瞼裂幅、眉毛、睫毛、角膜の透明度、老人環、前房深度、瞳孔径などの因子の影響を検討していく必要があります。さらに環境因子としての様々な環境下における地表面、周囲からの紫外線の反射、散乱と個人の生活パターンを考慮した詳細な研究が必要です。

疾患との関係については特に「白内障」ではどのタイプが紫外線により生じるのか、紫外線白内障に特徴的な混濁病型はないかについて疫学調査の結果から検討中です。また、被曝量と被曝時期の疾患発症への影響も検討しており、強度紫外線の短期被曝(スキー、海水浴など)、強度〜中程度紫外線の長期慢性被曝、小児期の被曝の影響などについて今後さらにデータを蓄積し明らかにしていく予定です。

<製品・企業に関するお問い合わせ>
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー
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(日刊工業新聞)