トリノ五輪スノーボード女子ハープパイプ代表に内定している成田夢露(めろ、17)が11日、大阪市内で会見し、スキー用具の契約がまとまらず、足のけがもあり本格練習ができないことを涙ながらに訴えた。


大阪市内で会見した成田夢露(左)はタオルで顔を覆い泣きじゃくる。右は父・隆史さん

1日から強化練習を始めたが左足首痛でリタイア。その後も回復せず練習再開のメドが立っていない。14日に全日本スキー連盟関係者と話し合い、15日に精密検査を受けるが、有力メダル候補に暗雲が垂れ込めた。

154センチの小柄な体を折り曲げ、タオルで顔を覆う。会見場に来た夢露は、とても話せる状態ではなかった。傍らにいる父・隆史さん(55)が夢露の言葉を代弁した。

「以前使っていた用具の不備から、けがを6回負ったが、謝罪も何もなし。契約が切れた今月から自分が希望する用具との契約にも圧力をかける。こんなのひどい。用具が決まらなければ、オリンピックどころではない」不満を一気にぶちまけた。

本来は1日からメダル獲得へ向け強化練習を積むはずだった。が、空手で踏ん張る動作をしたところ、昨年8月に左足首を骨折した個所に痛みが走り、わずか42分で中止。

隆史さんによると、6月で契約が切れた用具メーカーと交わした誓約書に「生命に関する重大な事故も一切自己の責任」とする一文があり、痛みを我慢し悪化させたという。主治医と相談し3週間の安静を決めたが、新契約が決まらない不安な日々も限界に達し、今月2度も家出したという。

それに追い打ちをかけるように兄・童夢が独立を希望し親元を離れた。「兄妹一緒のチームでオリンピックに出る」と願っていた夢露の夢も破れ、成田家は崩壊状態。

夢露は「オリンピックで頑張りたいけど、今は滑る道具がない」と泣きじゃくり精神的に不安定。隆史さんは「こんな状態なら五輪に出なくてもいい。早く普通の夢露に戻ってもらいたい」と語気を強めた。

14日に連盟の佐々木峻スノーボード部長(62)と話し合い、打開策を見つけるが、成田家、とりわけ隆史さんの用具メーカーに対する不信感は根強い。解決にはまだ時間がかかりそうで、夢露は本番に向けピンチに立たされた。(南 公良)

◆成田 夢露(なりた・めろ)1987年10月26日、大阪・大阪市生まれ。17歳。8歳でモーグルからスノーボードに転向し12歳で史上最年少プロスノーボーダーに。昨季W杯は優勝2回、2位2回など初の種目別総合優勝でトリノ五輪内定となる。6歳から始めたウエークボードで01年秋田ワールドゲームズ優勝。154センチ、54キロ。家族は両親と兄、弟。

◆連盟、メーカー困惑
夢露が突然開いた会見に、スキー連盟と用具メーカーは困惑気味だ。連盟は5日に夢露から契約に関しての要望書が届いたことを受け、佐々木部長が話し合いの日時を決めた。

「それが決まっている今、何で公に話をするのか分からない。ただ静観するのみです」。一方、名指しで非難されたメーカー側は広報を通じ「ノーコメントも何も、趣旨がわからないので話しようがない」とした。

(スポーツ報知)