5d2735d0.jpg比良山系の山頂付近にある「八雲ケ原湿原」(滋賀県志賀町)を復元する計画が進んでいる。

同湿原は、比良スキー場の開設で半分が埋められたが、スキー場を経営していた比良索道の廃業に伴い、自然公園法に基づいて元の自然の姿に戻さなければならない。

同社の親会社の京阪電鉄は復元のための協議会を設け、埋めた土を取り除く方向で検討しているが、2万年前の種子が残る貴重な高層湿原だけに、植物学者からは「復元工事で、かえって湿原に影響が出る」との指摘もある。

八雲ケ原(標高約900メートル)に広がる湿原はミズゴケなどに覆われ、約2万年前の植物の花粉や種子、表皮細胞が腐らずに残り、京都大などの植物学者の研究フィールドになっていた。

比良索道は1962年、スキー場を造るために湿原の北半分の約2500平方メートルを埋め立てた。しかし、同社は昨年3月に廃業、ロッジやリフトなどの施設の撤去を決めた。これらの施設は琵琶湖国定公園内にあり、自然公園法で、環境大臣の命令があれば、原状に戻さなければならない。

京阪は今年6月、地元住民や有識者で復元に向けた協議会をつくった。今のところ、施設を撤去した跡にはスギなどを植栽する計画で、八雲ケ原の復元については、約1000立方メートルの土を取り除く方法を協議している。

元京都大講師の村田源・森林再生支援センター理事長(植物地理学)は「八雲ケ原は、尾瀬の湿原に匹敵する学術的な価値がある。土を掘り返せば、現状の湿原にも影響を及ぼす可能性がある。重機などは入れずに、自然の力で回復させるべきだ」と話している。
(京都新聞)