トリノ五輪開幕(来年2月10日)まであと112日と迫った21日、日本に朗報が舞い込んだ。大健闘したのはスノーボードのハーフパイプ陣。スイス・ザースフェーで行われたワールドカップ(W杯)第3戦、女子は昨季総合優勝者で代表に内定している今井メロ(17)が、男子は国母(こくぼ)和宏(17=登別大谷高)が今季初参戦で優勝した。

今井は通算3勝目。昨季3位が最高だった国母は初優勝で、代表入りへ大きく前進した。日本勢は伏見知何子(31=UPスポーツ)が4位、成田童夢(20)が5位、村上大輔(22=クルーズ)が7位。トリノでのメダル・ラッシュも期待できそうだ。

夢露からメロとなっての初戦で、早くも勝利の女神がほほ笑んだ。今井は決勝で大技を披露。体を伸ばして斜めに2回転するオリジナルの大技「メロウ720」を決めて表彰台の中央に立った。 「勝ちたかった。用具のことなどで苦労した。今井になっても快進撃を続けてアピールしたかった」

17歳のプロ選手は喜びをかみしめていた。今年3月に五輪代表に内定しながら、オフに競技外の出来事で苦しみ抜いた。7月、指導法めぐって意見が衝突していた父・隆史さんから独立。用具のスポンサー契約もこじれ、クイックシルバージャパンと、グループ・ロシニョールの2社と契約したのは今月7日のことだった。

心労から体調不良となり入院したこともあった。だが、見守った母・多美江さんの前では負けられなかった。多美江さんは隆史さんと91年に離婚。メロとは離ればなれの生活を続けていたが、父の元を離れたメロを引き取り、名字は成田から今井に変わった。海外遠征の際に未成年者に義務づけられている親の承諾も多美江さんが進んで行った。そんな母の思いに、結果で応えてみせた。

「私ならやれるという気持ちで滑った。技術的には75点だけど、あの(重圧の)中でだったので80点」と充実感たっぷり。昨季の総合優勝者だが、気の緩みはない。空中で縦に2回転半する新技の「メロウ900」も完成間近。「私は王者ではなく挑戦者」と話すメロが、トリノで母に金メダルをプレゼントするかもしれない。

◆今井 メロ(いまい・めろ)1987年(昭62)10月26日、大阪・住之江区生まれ。加賀屋中卒。モーグルからスノーボードに転向、01年2月18日の札幌大会でW杯デビュー。男子並みの高いジャンプが持ち味。01年秋田ワールドゲームズでは水上スキーの女子ウエークボードでも優勝。04〜05シーズンで種目別総合優勝を決め、トリノ五輪女子代表内定第1号に。1メートル54、48キロ。

 ≪兄は復帰戦5位≫メロの兄・成田童夢は2月の右ひざ手術からの復帰戦で5位。2回転―2回転の連続技の安定度がもうひとつで、高得点を得られなかった。「力は入っていなかった。チョー悔しい」と残念がったが「今回は決勝進出が目標だった」だけに表情は明るい。12月のカナダ・ウィスラー大会などで表彰台に立てば、メロとの兄妹代表入りが濃厚になる。
(スポーツニッポン)